核ミサイルの発射ボタン。なんと渋谷や梅田の若者が集うど真ん中に置いてあります。
誰でも押していいのです。ホンモノです。
『大丈夫、誰も押しませんよ、安心です、安全です、だーいじょうぶ、だいじょうぶ!』
猪瀬 副都知事はこう言っている。
・緻密なシュミレーションで、想定外をなくす。
印象ではなく客観的なデータ、意見ではなくファクト(事実)が正しい現状認識を生む。
データと事実の積み重ね。
これに勝るものはない。
「だいじょうぶ大丈夫、原発は絶対安全だから!とにかく安全だから 笑」
ってのは、印象論で、無根拠なのです。
ブラックユーモアではありますが。
・渋谷と梅田に核発射ボタンを常時設置しても、40年間誰も押さない確率
・津波や地震が頻繁にある日本のしかも海岸に原発を数十基も設置しても、40年間一つも爆発しない確率
は同じだったようです。
おそらく今後もその確率は変動しない。
・若者の性質が世代遷移でたしょう変わっても
・原発(商用の軽水炉)が人間の浅知恵でたしょう新技術を伴っても
事故は同じ確率で、かならず起きる。(末尾の引用記事を参照のこと…端的には)
ということはすでに、福島の次に半永久立入禁止の「警戒区域」となる20km圏内は、実質的には、すでに決まっているに等しい…
ただ、どこなのかがわからないだけである。
候補の一例…
http://dec.2chan.net/53/futaba.htm
京都・滋賀知事の再稼働反対、経産相が「重大」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120330-OYT1T00328.htm
無題 Name 名無し 12/03/30(金)15:58:01 No.433659 del
琵琶湖が汚れたらもう数十年は水が飲めなくなる
… 無題 Name 名無し 12/03/30(金)16:03:01 No.433662 del
これは当然
事故ったら、関西が終了するぞ
滋賀と京都はいわば、ボドルザーに反旗を翻したブリタイとエキセドルだね。敦賀<>京都90km 大阪120km
http://www.youtube.com/watch?v=rKlkwvrLNMw 主に6:30以降
立入制限解除の、川内村もなあ…きっと被爆関連疾病がやたら増えて、十年も数十年も後になればなるほど、後悔するんだろうなあ…
線量が高い低いなんてのは数cm先はもう全然違うんだし…とても小さくて把握しきれないミニホットスポットがびっしりと点在したり…
線量が低い地域だからと言っても、すぐ隣接の線量が高い地域から突風で放射線源がいっぱい飛んできて、吸引して、長年にわたり内部取込みし続けて…
(モニタリングポストって、放射線源が全くない地域に、放射線源が飛んでくることを監視する装置…)
(だからいちど、国土全体、地域全部に、セシウムが埋め尽くすように降り注いだらもう、定点観測のモニタリングはあんまり意味がない…すぐ隣の線量は全然違うから)
(要は、土石流センサーは有効だけど、土石流で地域一帯が埋め尽くされてからではもう意味がない)
…ああいやだ。あのやさ顔の、ほのぼの遠藤村長を見るたびに、嫌な予感が再燃する。
飯舘村や伊達市および立ち入り禁止が解かれる地域は、今後数十年〜100年、200年単位での注視が必要だ。現地住民に頻発する疾病、現地の動植物の異常など…
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012033001075
浜岡5号機、貯水タンクに穴=外部漏れなし−中部電中部電力は30日、定期点検で停止中の浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で、原子炉内の冷却水の補給などに使う水をためる「復水貯蔵槽」に、11カ所の穴が見つかったと発表した。穴はいずれも非常に小さく、微量の放射性物質を含むタンク内の水は外に漏れていないという。(2012/03/30-19:52)
浜岡原発5号機 改良型沸騰水型軽水炉(ABWR) 2005年1月18日運転開始 定格出力138万kW(国内の原子力発電所単体では最大出力。) 2011年5月14日より運転停止中
※
ABWRは、GEのBWR軽水炉を元に東芝が『大型化、簡素化』したもので、
なんせ『大型化』ですから
出力も、核燃料架装数も、増えている…
そのABWRの、まだ2005年に運転開始の最新炉=浜岡5号機がもうすでに、腐食し、穴が開きまくっている。フィンの腐食はフィンが多ければ多いほどあちこちに多発しているだろう…
昨年にも復水器の冷却フィンが破損だらけになって、海水が入ってきてしまい、大騒ぎになったばかり。
http://tomtittot.asablo.jp/blog/2011/05/16/5867139
0.5ミリの壁 魚が泳ぐ海の水と、放射能まみれの原子炉の水が、この細管の薄い壁で隣合せ
私のこのブログの、プラモ製作記事を見てもらうとわかるけど、カッターナイフ一つでカンタンに、切って、、ぶっさして穴開けられて…よく使うプラ板の厚みが『0.5mm』なんですよ…金属だって鉄やアルミのドリンク缶は0.2mmぐらいだから、カンタンにカッターや包丁で切れるでしょ。しかも錆びればさびるほどどんどん薄くなって、もろくなって…穴が開く。なのに原発の0.5mmフィンは塩水で満たされている…
…無理だね、
西洋式の、20世紀型の、軽水炉型原発は、無理です。運用するには無理がありすぎる。全廃すべきだ。
まだ概念すら新しいペブルベットモジュール炉を、基礎研究開発からやり直した方がまだいい。
浜岡原発はたしか、18mの防潮堤を作りはじめているが(完成は12月…かなり大がかりな工事で、急ごしらえで…)
でも以下の試算では大津波の遡上高が3m上回る。
福島第一は最大5mも津波が勝って、原子炉建屋まで襲いかかったのが致命傷(正確には、大地震ですでに炉や配管が破損し、見回りの作業員が「炉内の湯気が見えていた」ことを確認していたという『報ステ』証言があるが、それに加えての致命傷の追加)
翻って福島第二は30cm〜1mほどしか『原子炉建屋までは』届かなかった。4mも差を開けられたのだ。ひとつにはタービン建屋側でかなり受け止めてしまったという見立てもある。そして女川原発と福島第二は、”厳しい”建屋標高設計によって助かった点が共通している。
…ということは、明らかに”甘い”18m程度の浜岡の防潮堤では、福島第一のような「負け組」になる可能性が高い。カンチガイしてはならないのは、堤は堤であって地盤ではない…311津波では大半の防潮堤は『決壊して切れた』。建屋の標高そのものが高くない限り、堤だけでは心許ないのである…(ましてや急いで急造する堤ゆえに…)
福島第一の遡上高は15mじゃないか、ともいえるが、あくまで「震源はかなり遠かった、しかし建屋標高が低かった」条件の場合だ。女川も原発は13m程度の浸水で済んだが、女川港の後ろは山の斜面を40m近く遡上しているのだ…(『http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20120317_05.htm女川沖の島で津波43メートル 震災で最大の遡上高か』311最高遡上…震源からとても近いのと、リアス海岸の特性による…原発は港のほうではなくリアスの入り口にあり、真正面から津波を受け止めるキャッチャーの位置にはなかった…以下は東北電の公式調査見解『http://www.tohoku-epco.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2011/07/08/11070801_lec.pdf●津波の主要な周期(50分前後)は,発電所周辺の地形等の固有周期とは合致せず,
地形等の影響により顕著な波高の増幅は生じなかったと考えられる。』つまりキャッチせずスルーしちゃったわけ。地理など固有条件によって色々と連動のタイミングがずれたので…しかし内湾なのでこんどは女川港めがけて一直線…)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120331-OYT1T00526.htm
南海トラフの巨大地震、最大津波34mを予測
東海、東南海、南海地震などが連動するマグニチュード9級の「南海トラフの巨大地震」について、内閣府の検討会は31日、最大規模の震度と津波の高さ(満潮時)の予測を公表した。
従来の想定に比べて震度7の地域は約20倍に拡大し、10県153市町村に及ぶ。太平洋沿岸では津波の高さはおおむね2〜3倍となる。
全国で最も高い津波が予測されるのは、高知県黒潮町の34・4メートル。最大20メートル以上の津波は太平洋沿岸の6都県、同10メートル以上は11都県で想定される。静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所付近は、同電力の想定を超える21・0メートルの津波を予測している。
(2012年3月31日17時34分 読売新聞)
浜岡の防潮堤…福島の遡上津波が13mだったからそのギリギリで済ませようという発想がすでにアマチュアの浅知恵だよね…福島第一は『津波は高くはなかった』んだよ震源から遠くて…たった6m程度(厳密な測定ができず諸説あり)…でも1〜4号機は10m程度までしか耐えられない建屋標高設計だったので、遡上高13m以上(11〜15m)の津波が、『原子炉建屋まで』浸水した=最大5〜6mの海に沈んだ。5〜6号機の建屋標高は13mなのですこし浸水しただけで済んだ。福島第二は建屋標高12mに対して、最大14m程度の津波で済んだ。以下の「再現計算結果」のページを見ればわかるが、第二では原子炉建屋まではあまり津波が来ていない。第二は第一より10kmほど南方なので震源からやや遠く1mほど津波も小さかった。
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/jishin/jishin6/siryo1-3.pdf
http://www.47news.jp/news/2011/07/post_20110722123201.html
浜岡原発に高さ18mの防潮堤 中部電、津波対策を強化 2011/07/22 12:30
中部電力は22日、東海地震に備えて新設を予定している浜岡原発(静岡県御前崎市)の防潮堤を、従来計画より6メートル高い18メートルとする新たな津波対策を発表した。長さは約1・6キロで、工事費は約1千億円。来年12月の完成を目指す。
はっきりいって浜岡原発なんて平らな平地海岸にあるから、しかも建屋標高6mしかないので…(福島第一は10mでも浸水)…もしここに直下地震があって大津波が来た場合、20mクラスの津波対策だと防潮堤も遡上されて乗り越えられてしまうよね。建屋標高6mで20m津波だと14m水没だから原子炉建屋の半分が海に沈む…しかも波が防潮堤を遡上したときにエネルギーが増して、もっと高くなるかも…
繰り返すが福島第一原発は「津波は6m程度と低く、震源も遠く、しかし津波対策の建屋標高がたったの10mだったので遡上された」ケース。
いまだ日本に限らず原発というものが、大地震の”震源直下”に遭遇し、『その地震でも最も大きな大津波』を受けた前例はない(あるわけない)
みなどうしても、福島原発の事故のイメージしかないから、それだけで語ってしまうが、あんなもん発生状況は「たいしたことはない」ことに気づくべき。
福島原発は、
・津波はたいしたことがなく、津波対策施工もたいしたことがなかった。
…ということは、
・津波がたいしたものなら、津波対策施工がたいしたものでも無効と言うことだ。
実際、311において震源近い地域での、大津波の遡上高は25〜35mなどザラにあった。
なにより福島第一では地震直後の見回り点検ですでに「炉心から生蒸気が吹いていて室内充満」との報ステ証言…たった震度6の地震でも福島原発は配管が割れた…まして震源なら震度7強だ…
だから原発(商業用の軽水炉発電所)は危険なのだよ。決定的に危険。
津波がこなければ安全なら、東京湾内が一番安全(史上4m以上の津波はなし)だから4基ほどABWRを急遽建設すべきだ。
余談ながら、311震災直後から外出もできず、未曾有の大災害と言うこともあり、自宅閉じこもりでひたすらネットで専門資料を調査、産学のプロを相手にネット会議を重ねていたので、当時から原発事故関連にはかなり詳しいのです。
◇
馬鹿なコンプライアンス信奉者や、役人などに天下を取らせると
ひたすら
「ルール徹底なの!素人とか部外者は全部閉め出すの!ちょっと立ち入っただけでも逮捕で死刑なの!」
という極端なことを、本当にやり出すから困る。
とはいえあんまり例外を常態化してゆるみきってしまうと、犯罪マフィアなどアウトロー天下へ傾倒していく…
さじ加減、まさに舵取り次第である。キーマンやストッパーが必須となる。
宇宙人ジョーンズのCMそのものだね。優秀な宇宙人ドクターなのに
「おまえは無資格だ」といって役人に追い出されて、島の住民たちには感謝されまくって。
・別に、常時例外適用でなくてもよい
・ただ、緊急時の特例すら「絶対にダメ!」では、世の中はいざというときに回らなくなる
東京に大雪が降りました
でも雪かきは有資格者しかやってならないとすれば…大混乱、けが人続出…1週間後になれば雪かきのプロが来る?でも3日後には溶けてしまうかも…
役人やコンプラ信者の言ってることやってることは、それなのです。
だから311後の復興が遅々として進まない。
役所と政治家『だけ』で、あんな広域で甚大な災害被害、処理できるわけがない。
ただでさえ「世界最遅」な、日本の議会政治と、霞ヶ関行政なのだから…
◆猪瀬直樹『決断する力』を読み解く
※要旨
・東日本大震災の際、千葉県市原市にある石油コンビナートが炎上した。
東京都消防庁の防災部長を呼んで、消火艇を出動させた。
本来なら千葉県から総務省に要請が出され、そこから東京都に連絡される仕組みだ。
防災部長と相談して、そのプロセスを飛ばした。石原都知事には事後報告で「先に行っちゃいましたよ」と伝えた。
たぶん森田健作・千葉県知事から後で出動要請の電話があるはずだから、
それを見越して先に行かせたということだ。石原さんは「そうか。それでいい」と一言。
一時間後、森田知事から電話がかかってきた。
・何が大事なのか。
いま最優先で取り組むべきことは何か。
危機の最中に何よりも重要なのは、ルールを守ることよりも、即断即決の実行力だ。
・危機は一瞬で過ぎるものではない。
刻々と変わる状況に合わせて、つぎつぎと手を打たなければ、
機会はどんどん失われ、場合によっては手遅れになる。そのためにはできるだけ正確な状況をつかむこと、
集まってきた情報をもとにその場で決断を下すこと、
そして結論を速やかに関係者と共有すること、の3点である。
・現場の情報を一箇所に集め、そこで決断して、関係者に伝達する。
現場は現場で動いているから、情報の流れを整理して、
必要な人に必要な情報が行き渡る様にする。
・刻々と変化する状況では、情報の流れを滞らせないことが重要だ。
現場の情報を吸い上げ、必要な人に伝達する。
ソーシャルネットワークの得意分野だ。
・立ち止まっている時間はない。
走りながら考える。危機の瞬間は、完璧さを求めてはいけない。
限られた情報をもとにまずは走り出す。
状況に変化があれば、後から修正を加えていく。
・スピードこそ命。
迅速な意思決定せよ。仕事ができるとは、仕事が速い、という意味。
決断はスピード。
実行もスピード。
それが人の信用の基準。
わかる人には、わかる合言葉。
・組織の中から情報を吸い上げるだけでなく、外からも直接情報を入手する。
当事者同士でやりとりすれば、ダイナミックな動きも可能になる。
・東京都副知事としての僕には、当初、机と椅子と部屋しかなかった。
ラインを持っていない。
会社で言うと「部下も事業部も持たない副社長」のようなもの。
僕の仕事は日本政府との折衝(戦い)と、「その他知事の特命事項に関すること」の2つだけ。
ところが「その他」とあるのがミソで、石原知事の特命事項として、
その他さまざまなプロジェクトを立ち上げればいいのである。
・「変人」の混ざり具合が重要。
周囲の反対を押し切りやらなければならないことがある。
震災は国難であり、国民としてどう課題を共有して乗り切るか、
リーダーが決断しなければならない。リスクのない対処法などないのだから。
こういうときは、変人じゃないと乗り切れない。
・週末は体力をつくる。
これ、あたりまえの備え。
もうひとつ週末にしかできないこと、本や資料を読み込む集中力。
ある意味、平日より土日のほうが仕事密度が高い。
仕事は、発想力があるかないか。
・日常使っているネットワークこそ役に立つ。
最後の切り札は周到に用意する。
しかし、普段使っているものほど、緊急時にも役に立つ。平時だからこそネットワークの強化・複線化に取り組むべき。
・緻密なシュミレーションで、想定外をなくす。
印象ではなく客観的なデータ、意見ではなくファクト(事実)が正しい現状認識を生む。
データと事実の積み重ね。
これに勝るものはない。
※コメント
猪瀬氏の発信力は強力だ。
本やネットを駆使した彼の情報発信は、官僚組織にとって脅威だ。
官僚組織にも言い分はあろうが、普段から猪瀬氏のようにソーシャルメディアを使って、
国民との対話をしていると、何かあったときに強大な支援体制になってくる。
言葉の大切さ、発信する大切さを学べる。
http://www.youtube.com/watch?v=ePGYYPa3qAs
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120306/its12030607340000-n1.htm
第11部 前へ進むために(6)ネットが速報伝えた
2012.3.6 07:33 (1/3ページ)[知的財産]違法配信 独断で黙認
≪震災直後、NHKニュースを無断でネットに流した広島県の男子中学生(15)≫
□「とても大胆な行動で、今思うと、自分でもおそろしいですね」
◇
3月11日の東日本大震災発生直後、大津波警報が赤く点滅するNHKのニュース画面を見ながら、広島県に住む中学2年の男子生徒=当時(14)=は「この画面をネットに流したら、助かる人がいるんじゃないか」と考えた。
その瞬間、脳裏を懸念と不安が駆け巡った。「相手はNHK、あとでどうなるか」。手持ちのiPhone(アイフォーン、高機能携帯電話)を使って動画投稿サイト「ユーストリーム」で配信した経験もほとんどなかった。しかし、母親が阪神大震災の被災者だったことが、少年の背中を押した。「今、東北には自分よりも不安を抱えている人がものすごい数いるんだ。自分がやらなければ」
配信を始めたのは、最初の大きな揺れから17分後の午後3時3分。ミニブログのツイッターを介し、「ユーストリームで地震のニュースを見られる」という情報は、またたく間にネットを駆け巡った。
配信に気付いたユーストリーム・アジアの担当者は迷った。明らかにNHKの著作権を侵害した「違法配信」だ。普通は直ちに停止する。だが、停電などでテレビを見られぬ人には貴重な情報源ではないか。
この状況を出張先の米国で知らされたユ社の中川具隆(ともたか)社長(55)は、午後4時ごろには、「われわれの判断で停止するのはやめておこう」と指示する。NHKの要請があった場合のみ停止する。中川氏は現場にそう伝えた。
ツイッター上ではNHKの対応にも注目が集まっていた。NHKの番組宣伝を行う公式アカウント「NHK−PR」は、顔文字やユーモアを交えた「つぶやき」でツイッターの世界では有名人である。
そのNHK−PRが午後5時20分、少年の無断配信のアドレスを、自分のつぶやきを読んでいるフォロワーに紹介した。そして、こう書いた。「私の独断なので、あとで責任は取ります」
同アカウントの担当は1人の広報局職員だ。「免職になるかもしれないと少し躊躇(ちゅうちょ)したが、それで助かる人が一人でもいるのならと思いツイートした」。そして、少年。「NHK広報さまのツイートがあったのであそこまでできた。あの中継は、みんなで作り上げたんだと自分は考えます」
あれから1年、2人は産経新聞の取材にメールでこう答えた。
NHKは午後6時過ぎ、少年がユーストリームで行ったテレビ画面の無断配信の継続を正式にユ社に許諾した。NHKのデジタル推進部門の責任者、元橋圭哉氏は「放送を届ける使命を果たすためには、誰でもそうしたと思う」と語る。そして、午後9時ごろからはユーストリームで公式に番組の同時配信を開始。前後してTBSなど民放12局も続々と同時配信を始めた。計13チャンネルの視聴は震災発生から2週間で延べ約6800万回にも達した。
混乱の中、1人の中学生の“暴挙”が引き起こしたネットと放送の融合。ただ、それを再び行うかとなると、関係者から積極的な声は聞こえてこない。元橋氏は「未曽有の災害だったからしたこと。今、同時配信をやりたいということは全くない」。NHKの松本正之会長は「臨機応変に対応していくことが必要だ」と述べるが、具体的な議論が進む気配はない。
それでも、1年前の出来事が成功だったことは疑いない。テレビの伝える情報の価値は再認識され、ネットは被災者が、そこに書き込むことで、「誰か」と情報や不安を共有し、安心感を得る場になった。
「あのとき、かつて街頭のテレビに人が群がったように、テレビを中心としたコミュニティーができていた」。元橋氏は語った。