先従隗始・温故知新

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敦賀原発、直下に活断層 規制委が断定へ 廃炉の公算大


カツサンドには誰も勝てない…さぼてんが日本を救う。


女川に限らず、原発が震災において恐れるのは何も津波だけではない…
311震災後に福島の第一と第二の原発は、施設内の配管もゴチャゴチャに変形・破損した箇所があったと言うし、交流電源喪失津波ではなく、大地震によって送電線の鉄塔が倒壊したり、揺れた電線同士がふれあってしまってショートしたことが大きい。
「確かに津波は堤で防げました…が電源は喪失し水素爆発を防げませんでした」というのは、十分に現実的と言わざるを得ない。施設内道路を寸断されただけで、せっかくの備え付けの電源車は現地へ迎えない。近くまで行って電線によって延伸しようとしても不足する恐れもある。ディーゼル発電機DGは世界中の例を見てもけっこう「どういうわけか動作しない、いきなり止まる、リブートできない」不確定要素があって怖い。DGがだめだと電源車しかなく、電源車が来なかったらフクシマの二の舞だ…原発はこの綱渡りが避けられない技術である。ただ最初期の商用原発である福島第一と違いたいていの原発はDG用の軽油タンクはかなり高所にあったり海と反対側にあるので、福島第一のようにさっさと海へ流出する可能性は低いが。でもタンクが無事でも中途配管が流されてしまうかもしれない…津波は、引き波というのが非常な破壊力を持つので。
じっさい、太平洋に並ぶ女川、福島第一第二、東海第二の各原発は震災直後、いずれもDGが一部不動で、残るDGを複数原子炉へ使い回しだったりして、かなりヒヤヒヤの綱渡りだったことがわかっている。

http://www.asahi.com/national/update/0514/TKY201305140426.html
敦賀原発、直下に活断層 規制委が断定へ 廃炉の公算大


図:敦賀原発2号機の原子炉建屋直下を走る活断層の疑いがある断層の位置拡大敦賀原発2号機の原子炉建屋直下を走る活断層の疑いがある断層の位置


 原子力規制委員会は15日、有識者らの評価会合を開き、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉建屋直下の断層は「耐震設計上考慮する活断層である」と断定する報告書をまとめる。国は活断層の真上には原子炉建屋などを造ることを認めていない。このため、規制委の田中俊一委員長は敦賀2号機の再稼働のための審査をしない方針を示しており、2号機は廃炉になる公算が大きい。

 規制委の評価会合は全国6カ所の断層について調査または調査を予定しているが、活断層と断定する報告書をまとめるのは初めて。報告書は22日にも、規制委に報告され、敦賀2号機の再稼働の審査の是非について検討する予定。

 問題の断層は、2号機の原子炉建屋直下を通る「D―1」と呼ばれる断層。規制委の有識者らは昨年12月、現地で原発敷地内にある活断層「浦底断層」の近くで、D―1断層から延びた地層のずれを調べた。


http://www.asahi.com/national/update/0514/TKY201305140403.html
女川原発防潮堤、標高29メートルに 浜岡抜き全国最高


写真:東北電力女川原子力発電所=2012年2月22日、宮城県女川町、朝日新聞社ヘリから拡大東北電力女川原子力発電所=2012年2月22日、宮城県女川町、朝日新聞社ヘリから


 東北電力は14日、宮城県女川原発で防潮堤を標高17メートルから29メートルにかさ上げすると発表した。2016年3月の完成をめざす。同社は「全国の原発の現時点の計画では最高」と説明している。東日本大震災以後は停止している女川原発に巨費を投じ、再稼働に向けた準備を進める姿勢を鮮明にした。

 東北電は震災の津波のデータや過去の地震での断層の動きなどを分析し、女川原発に最高23メートルの津波が到達すると試算。防潮堤をかさ上げすることにした。

 女川原発は原子炉建屋などの重要施設が標高14・8メートルの高台にあり、震災に伴う13メートルの津波にも決定的な被害は免れた。東京電力福島第一原発事故を踏まえ、標高17メートルの防潮堤を昨年4月に完成させていた。




http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130513/dst13051307590003-n1.htm
日本海中部地震 発生30年 誤解で津波の被害拡大
2013.5.13 07:54 (1/2ページ)



 津波で100人が犠牲になった昭和58年の日本海中部地震から26日で30年を迎える。避難の遅れや津波への誤解が被害拡大を招く一方で、研究や防災が進展する契機ともなった地震だ。当時の教訓は、いまなお防災対策に重要な視点を投げ掛けている。(草下健夫)

                   ◇

 ■7分後に第1波

 秋田県沖で発生したマグニチュード(M)7・7の日本海中部地震は、日本海側で観測された最大規模の地震だ。揺れの被害は比較的少なく、死者104人の大半は津波で命を落とした。津波は最大で6メートルを超えたが、数十センチの場所でも多くの死者が出た。

 震源が陸に近かったため、津波地震発生のわずか7分後に第1波が到達し、たまたま沿岸にいた人々が巻き込まれた。秋田県能代市では港湾工事の作業員34人が死亡。男鹿市では海岸で弁当を食べ始めた遠足の小学生13人が津波にのまれた。

 東北大の首藤伸夫名誉教授(津波工学)は「昭和14年の男鹿地震津波が軽微だった経験から、日本海側の津波は大したことはないという誤解があり、被害が大きくなった」と振り返る。

 釣り客の死者も21人に上った。波打つ海面を見続けていたため、揺れに気付かず避難が遅れた人が多い。青森県十三湖では、津波は70センチ程度の場所もあったが、勢いが強く6人が死亡した。

 津波対策への過信もあった。35年のチリ地震津波を契機に防潮堤などが全国的に整備され、43年の十勝沖地震で被害が最小限に食い止められたことから、「津波は構造物さえ作れば大丈夫と誤解され、避難や防災の町づくりが軽視されていた」と首藤氏は指摘する。

 津波警報が第1波到達の7分後と遅かったことも被害拡大の一因だ。気象庁は警報の迅速化に取り組み、10年後の北海道南西沖地震では発生5分後に発表した。

■周辺に「空白域

 文部科学省は昨年度までの5年間、日本海東縁のひずみ集中帯を調査。日本海中部地震震源断層とみられる構造を海底下で確認したほか、周辺で多くの断層を見つけた。長谷川氏は「地下構造の探査は情報量が多く、研究や被害予測に欠かせない。より深い部分の構造を測定する手法の開発を進め、探査を続けることが重要」と強調する。

 日本海側の地震は、明瞭なプレート境界がある太平洋側と比べて規模は一回り小さく、頻度も低い。しかし、奥尻島を大津波が襲った北海道南西沖地震のような大きな被害が生じる恐れがあり、十分に注意する必要がある。

 日本海東縁には、日本海中部地震震源域の南側などに地震の「空白域」があると指摘されているが、研究は遅れている。データ不足から政府の地震調査委員会の長期予測の対象外となっている場所もある。

 日本列島は周囲で4つのプレートが衝突しており、沿岸部は例外なく津波のリスクを抱えている。東日本大震災が起きた今、過去の教訓が生きるように誰もが備え続ける必要がある。



この街を


こんな風にしないために。(この人は小学生の時にうしろの標語を考えた人)


311震災でも、爆発直後の一時期は『首都圏疎開』を政府が準備していたのだ。あの当時の恐ろしい気分は忘れようがない。
まだ東方の原発の事故はいい方で、
中部西国の原発の汚染物質は雲とともに東へ東へ拡散していくので、事故を起こしたのが仮に、静岡の浜岡どころか、敦賀だって、「東京は他人事ではない」事故の内容次第では福島の時より汚染がひどくなる。
東京が重汚染で済むとしても、大阪京都と大津は100kmも離れてないので飯舘村福島市なみかあるいは立ち入り禁止レベルで汚染されよう。名古屋も津もけっこう近い。
原発事故に「あんなもん」は存在しない。炉の形式や震災内容などにより幾多も派生する…福島は全然指標にならない。もっと軽微、あるいはもっともっと重大となる…原発技師だった元佐賀大学長も「最悪はSBOの8時間後に水素爆発、あるいは即発水蒸気爆発」と言っている。


転職は
いくらでもできる国だ。
途上国のように職を失うと本当に死ぬしかない国とは違う。
しかも事故が起きると多くの産業と地域が一気に吹き飛んでしまう…百年単位で。


原発作業下請け企業だって、土建ゼネコン下請け企業と同じと考えられる。いまや土建末端企業はそれだけでは食えないのがごろごろいるから他業種へ多角経営にシフトするなど工夫・努力している。
これもまたひとつの淘汰・進化の過程であろう、どの時代にもどの業界にもたまにあることだ。
いまや松下もシャープも、というか家電業界がサドンデスの崖っぷちにいる…時代の変遷とは常に栄枯盛衰で、きっかけがトラブル発覚による場合も多い。


難しい調整局面もあろうが、やはり第一義は『原子力の限界の露呈』であろう。20世紀に夢のようなことばかり言い過ぎた。
地方民、労働者階級は受動的…流されやすい…廃炉方針や転職ムードとなればきちんと適応を急ぎ始めるだろう。行政側でもサポートできるだろう。あげく敗戦確定で進駐軍がくるとマッカーサー万歳とみんなでいいはじめたように。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/130518/wec13051807010001-n3.htm
 市内で長年、原発関連企業を経営する男性社長(62)は危機感を募らせ、こう強調する。「作業員一人ひとりの後ろには養わなければいけない家族がいる。そうしたことまで規制委員会の先生方は本当に認識しているのか」

 一方で今後、現実味を帯びてきた廃炉による新たな作業が創出されれば、市の経済基盤は従来通り保たれるという指摘もある。河瀬市長は「何が何でも原発の稼働にしがみつくわけではない」とした上で、「原電を、廃炉を専門に扱う会社とすることも可能だ」と持論を述べる。

 ただ、ある電力事業関係者はそうした期待とは裏腹に異なる見解を示す。「廃炉で新たな仕事が生まれるといっても、実際はまだ見えてこないずいぶんと先の話。現実的に市の財政運営は厳しくなるだろう」

事故原発の立地自治体は、ネットやマスコミで事故後もいろいろと紹介されたが、
あきらかに分不相応な税収が多く、僻地の田舎に不相応なハコモノや行政サービスに満ちていた…それを地域経済だの自治体財政だのと言うのは勝手だ。


福井県ほどのちょっとした都市が、いつまでも、それでいいのか?
福井でも敦賀市は僻地などでは全然ない…商業規模も大きく人口も多い都市部だ。
それが吹っ飛ぶと言うことは、福島よりいっそう日本経済をがたがたにするリスクを意味する。十数もの原発がある敦賀周辺はまさにハインリッヒの法則的には絶望的だ。


現状維持を選択してしまえば、それらの影響力・政治力は増してしまい、つぶすにつぶせずにぐだぐだと次の事故を迎えるしかなくなる…
日々、マスコミで国政のグダグダをみる、そのまんまだ。
せいぜい、発電総量における原発依存度の高い関電などでやむにやまれず、がせいぜいだろう、1電力1サイト程度でようやっとハインリッヒてきなセーフティーがある程度確保できる。


「赤信号を無視しまくらないと、くっていけないぞ!」
と言ってるドライバー業とおなじだ。その人数が多く、雇用と税収収益が大きいから、それを許しちゃおうかという悪魔の誘惑がもたげている状況…科学(信号機)をすっ飛ばしてでも再稼働しちゃうのかどうかの瀬戸際。


昔は、旧来の中世のようなオカミ型のむちゃくちゃを押し通す封建権力支配でも、人類はたいした科学技術を持たなかったので、たいした事故に至らなかった。
今は違う…中世オカミ方式だと、大それた科学技術や、大それた資産総量を、いくらでも持ってしまってるので、物事をねじ曲げて強引に言うことを聞かせるオカミ&ヤクザ方式では、いくつ重大事故を起こし、なんど人類存亡の危機を迎えても、足りなくなる…まさに人類の命がいくつあっても足りない。


人類は、技術の進歩をそればするほど、神へ近づいていく。
つまり時代が進めば進むほど、神のように聖人君子でないと、生き残りが難しくなる。


判断を一つ間違えただけでなんどでも原発事故を起こすし、
仮に超能力や魔力を得てしまえば、気分一つで大災害やらに実現まで行ってしまう…


『得た力の大きさや、リソースの総量が、大きくなればなるほど、判断一つで存亡の危機』
この法則は身にしみておくべきだ。昔ほど人類はちゃちではない。昔と同じようには行かない。


人類は小さい。何万年も身長も筋力も知力も同じ。
つまり大きな力を持てば持つほど、過剰すぎるほどのフェイルセーフへシフトしていくしかない。


原子力をよく知らない頃の基準で設計された原発は相次いで爆発…
ってことは原子力産業界もまた、半世紀も前の原子力をよく知らないときの価値観で構築されてるわけで…
いわば排ガス規制前の有鉛ガスで動くカローラやセドリックだけを走らせろという無茶な要求をする格好となる。どれだけあまくあまくしても追いつかないぐらいなのが原子力業界といえる。有害だし、危険性も高い。


国際マネーの総力もこれまた今や増えすぎて制御不可能でスプレッドを重ねるようになっており、だんだんと小さいバブルになっているが反比例で大きなスプレッドを迎えるようになってきた。今度のマネーバブルもそのスプレッドも、その仕掛け人=主役は日本のアベノミクスであるから、日本は大ダメージ必至だ。英米が主役だった先のマネーバブルとは違う…つまり英米はもうやけどしたからやりたくない、日本やれよというわけだ。


きょうはなんともタイムリーに事故原発付近で地震が発生…14:48ってところがなんとも。福島沖が震源震度5強
災害は、いつでも、わすれたころに、やってくる。

NHK
福島第一原発 新たな異常なし
5月18日 15時11分

東京電力によりますと、この地震で、福島第一原子力発電所で新たに異常が発生したという情報は入っていないということです。
また、福島第二原子力発電所でも異常が発生したという情報は入っていないということです。


 ◇


震災直後から「商売推進に特化したロボット」でしかなかった経産省


枝野も経産相になったとたんに原発の虜のような発言しかしなくなった。
原発応援スジの右翼勢にも当然、これらが関わったり後援をしていることになる。

http://www.asahi.com/business/update/0519/TKY201305180430.html
「民間提言」に経産省が関与 原発の再稼働や輸出求める


 【松浦新】電力会社や原発メーカーのトップらでつくる「エネルギー・原子力政策懇談会」(会長・有馬朗人元文部相)が2月に安倍晋三首相に渡した「緊急提言」づくりに経済産業省資源エネルギー庁がかかわり、手助けしていたことがわかった。提言は原発再稼働や輸出推進を求め、原子力規制委員会の規制基準や活断層評価を批判している。民間の提言を使い、経産省原発を動かしやすい環境づくりに動いている。

 提言は「責任ある原子力政策の再構築」と題し、有馬会長を発起人とする有志名で出した。有志に電力会社トップはいないが、日立製作所など原発メーカーや大手商社のトップ、元経産次官の望月晴文氏(日立製作所社外取締役)ら29人が名を連ねる。

 A4用紙5枚の提言は原発規制のあり方に約4割を割き、規制委に対して「最高水準の英知と最大限の情報を活用した検討が実現していない」と批判した。そのうえで「原発再稼働を図るべきだ」などと求めた。


 ◇

事故原発の元作業員

http://twitter.com/Happy11311
Happy11311 May 19, 10:13am via Keitai Web

続き2:オイラは防波堤はじめ津波対策、ベントフィルター設置、耐震強化、電源車配置等々のハード面だけで再稼働の安全評価って納得いかないんだよね。むしろ事故が起きた時のソフト面やヒューマン的な方もしっかり計画・訓練し確立しないとダメだと思うんだ。


[happy11311] Happy11311 May 19, 10:12am via Keitai Web

続き1:再稼働する電力会社は、四時間の間に体制を整え、被害損傷状況を把握判断し、人材と資機材を揃え、的確な指示と対応が出来る自信があるのだろうか?また原発立地自治体も四時間以内にたとえ夜中であろうと住民を安全に避難させる事が出来るんだろうか?


[happy11311] Happy11311 May 19, 10:12am via Keitai Web

おはようでし。昨日の地震でちょっと思ったんだけど…。1F1号機は全交流電源喪失(SBO)から、わずか四時間弱で燃料溶融が始まってるんだよね。再稼働する原発の現場は、全交流電源喪失した場合に、あらゆる複合型事故を想定して対応策が具体的にあるのかのか?とても疑問に思ってるんだ…。

たぶん何度、おなじように原発事故になっても
同じように、あるいはもっと低レベルで、
政権メンバーも官僚どもも、まして電力社員も、なっさけない顔してオロオロしてて情けないったらありゃあしない…そういう顛末になるんだよ。
自民安倍石破だろうが民主ほかだろうが関係ない。霞ヶ関はいつでも霞ヶ関だし。


もし日本各地の原発立地地域に、
震災レベルが来てしまって、SBOだだめだこりゃ爆発しかないとなったら(津波が来ようが来るまいがSBOはありえる、鉄塔が倒れ電線同士がぶつかり合ってショートなどなど)
みなさん、あきらめたほうがいい。とっとと逃げた方がいい。ずっと帰れないと思っていい。


 ◇


原子力産業側からの悪あがきは、
蓋を開けてみたら、けっこうみみっちいい低予算なものだった…
どのみち先すぼまり、じり貧だね…

http://tanakaryusaku.jp/2013/05/0007139
 日本原電が業務委託したのは、リスクマネジメント会社の「SCANDPOWER」(本社ノルウェー)と英国シェフィールド大学のNeil Chapman教授をリーダーとする地質関係の専門家グループ。

 ケルビン・ベリマン博士(ニュージーランドGNSサイエンス)は「活断層と断定する根拠はなかった」と強調する。よほど詳しく調査したのかと思っていたら、そうではなかった。

 筆者が「現場を見たのか?」と質問したところ「見た」と答えるので、「何日間滞在したのか?」と聞くと博士は「1日」。

 地震大国日本にあって活断層原発再稼働を左右する極めて重要な要素だ。その現地調査がわずか1日というのだ。

 博士が判断材料としているのは、日本原電が雇っている現地調査員からの説明だった。

 筆者は呆れてものが言えなかった。再稼働させたい一心の日本原電の調査員が、活断層につながるような答をするわけがない。


 ベリマン博士が敦賀原発に関する事情をよく知らないことが、もろばれになる場面があった。活断層についての取材歴が長い明石昇二郎記者(フリーランス)が次のような質問した時だ―

 「日本原電は私の取材に対して“浦底断層(※)は活断層ではない”と説明してきた。(ところが)国のバックフィットを経て“浦底が活断層である”と認めるようになった。日本原電は30年間、地元住民に対して“浦底は活断層ではない、死んだ断層だ”と言ってきた。それは御存知か?」

 博士は「(2号機の真下を通る断層が)明らかに活断層ではないことが示されている」と答えた。明石記者が質問しているのは浦底断層についてなのである。博士は当事者の日本原電が「浦底は活断層」と認めていることを知らないようであった。

 明石記者「日本の安全基準では、活断層を否定できない場合安全側に判断する(稼働させない)という項目がある。それは御存知か?」
 
 博士「予防原則も確かに必要です。・・・(中略)原子炉近傍の断層であっても安全であることは世界中で証明されている」。

 博士はクライアントの日本原電とも すりあわせができていないことが明らかだった。根拠らしきものは明確に示さず「安全だ」を繰り返した。

 筆者がベリマン博士を追及していると、隣に座ったSCANDPOWERのエプステイン氏が司会者に「巻き」を入れた。さすがリスクマネージャーと言ってしまえばそれまでだが、都合の悪いことは隠そうという姿勢がありありだ。「卑怯な記者会見だ」と筆者はマイクを握ったまま指摘した。

 記者会見を通じて見えたものは、何としてでも原発を再稼働させたい、日本原電のなりふり構わぬ姿だった。

 ◇
(※)浦底断層
敦賀原発敷地内を南北に走る構造線(写真・太いタテ線)。2号機真下を通る破砕帯(細い斜線)と交わる。破砕帯についても原子力規制委員会・調査団は活断層との見解をまとめた。