先従隗始・温故知新

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マジックファイバー比較 3Mライトストリングと一般的なマジックファイバーはどう違うか技術解説


マジックファイバーとは:


ふつうの光ファイバーが、始点に光を当てると、終点だけが同じぐらい光るものなのに対し
(距離に対して光損失が少ないので、光点滅によるモールス信号をデータ送信に使うのが一般的)


マジックファイバーとは、主に照明や装飾を用途として、光損失を覚悟の上で、
側面もすべて光らせるものである。


画像を見ていただければ一目瞭然。
住友3M社のライトストリング(旧イルミファイバー)は、マジックファイバーの中でも側面の明るさを強調して好評の製品だ。終点は全く光らない。
これに対しノーブランドのマジックファイバーはほとんど側面が光らないで、終点が眩しく光っている。


これは技術的にどうなってるかというと、あるていどの技術とか科学というのを実務レベルで理解していれば簡単なこと。


チンダル現象という概念がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%AB%E7%8F%BE%E8%B1%A1
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E6%95%A3%E4%B9%B1
朝もやなどで、光の軌道が見える現象だ。霧の中でヘッドライトをハイビームにすると何も見えなくなる。
つまりチンダル現象を強くしたのが3M社のライトストリングだ。


液晶パネルで採用されてる「光拡散フィルム」にふくまれる、「球状の透明微粒子」、これをファイバーに配合して成形すると、そこを通過した光の多くが終点まで届く前に乱反射して側面を照らすことになる。
なので始点から近いほど明るく側面が光っているが、設計限界以上(50cm以上)先はほとんど光っていない。
この3Mライトストリングは「highタイプ」といわれる50cm以下推奨の強力発光タイプであり、
よく光る代わりに、まったく距離は届かないのだ。


メーカーサイトの解説を見る限り、芯はふつうの透明アクリルで、側面発光に最適なフッ素配合皮膜をかぶせているようだ。このフッ素皮膜のフッ素配合率を上げたのがhighタイプなのだろう。
紙やすりで表面を削っても、曇る厚みを調節することはできないが、
フッ素皮膜であれば、フッ素配合率を調節するだけで側面発光を高めることができる。
http://www.mmm.co.jp/auto/lighting/lsg/
フッ素皮膜は、建物の外壁にコートして太陽光を反射することで、室温上昇を防いで夏の省エネに役立てたりしている様子。http://agccoat-tech.co.jp/products/construction/sunbarrier/index.html


つまり遠くまで光が届いてしまうほど、「一般的な光ファイバー」に近いと言えて、安価である。側面はほとんど光らない。そして散乱物質がほぼかまったく含まれてないので透明度が高い。
側面をギザギザにしたり曇らせれば、ある程度は発光が強められる。
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20141130/1417263230


ライトストリングはすでに、車両メーカー各社で車内照明用などに正式採用されている。
http://www.mmm.co.jp/auto/lighting/lsg/example/





うちでは、ビームサーベルの発光材に使う予定であり、検証中である。


ちなみにマジックファイバーというのは必ず必須というほどのものでもない。
硬質のアクリル材でも、側面をギザギザにすれば光の反射角が変わるために側面が光るようにできるのは有名。タクシーについてる透明の棒がよく光っているが側面はギザギザである。すりガラスのように紙やすりで削って曇らせてしまうのもある程度は同じ効果がある。
マジックファイバーのメリットは、軟質なので曲げられる=自動車の複雑な形状の尾灯などにぴったり添わせられるということ。アクリル棒も曲げられるが熱処理が必要だ。側面発光もギザギザ加工し無くてはならないし、ライトストリングほどには光ってくれない=散乱物質が配合されてないため内側の透明度が高すぎる。
ビームサーベルみたいに真っ直ぐなものは、むしろこの軟質樹脂という性質が厄介となる。どんなつっかえ棒でまっすぐ立たせるかという難問が。


 ◇


ビームサーベルの場合、二通りのやり方が考えられる。
・硬質アクリルの透明度を高くして、光量の大きな超高輝度LEDによって先端まで強い光を通す(まっすぐだから可能)
・ライトストリングのような、軟質ファイバーで、曲げても強い光が一定距離まで届く材質を用いる


画像は、
左が硬質アクリルで造形したビームサーベル
右がライトストリングだが
両方とも光量に差はない。
ただし、硬質アクリルはどんだけがんばって工夫して加工しても、光軸がずれると暗くなる。まっすぐの光軸が必要だ。
これに対し、ライトストリングは曲げようが光源からずらそうが、同じぐらいの光量で50cm=メーカー提唱の限界値まで届く。


つまり、ビームサーベル程度なら、アクリル樹脂で作れる。
しかしビームライフルの射線上とか、ビームサーベルを引き抜いた軌道上の残像ともなると、ライトストリングが必須となりそう。
…ただし
ライトストリングは、塗装できない。ポリエチレンやナイロンに近いようで塗料をはじいてしまう。
光源の芯材にするなど、二重化する必要がありそう。

だがしかし恐ろしい事実が待っていた…
ライトストリングよりも強く発光する物体が会った、それは…


白ストロー
まさに蛍光管
同じ径の透明のやつを探してこよう…

目指すは
昼間の室内でも、照明照らす室内でも、
燦々と輝くビームサーベル
…しかしこれけっこう難易度高い。自己発光しないとムリだからELワイヤでも厳しいハードル。
いっそ花火仕込んだほうがいいぐらい。あるいはフィラメントがやたら長い電球を自作するか、液晶用蛍光管を流用するか、レーザーポインターか。