先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

多核種除去装置アルプスは、どう、うまくいってないか

http://www.huffingtonpost.jp/2014/03/10/happy-11311_n_4932896.html
だから、作業員の環境改善のために敷地内の除染とか「外堀」の部分は進んでいますが、建屋の中はいまだに進んでいないと。それから汚染水にしたって、やってはいるんですが、放射性物質を除去するALPS(アルプス=多核種除去設備)が動かないのが原因で、去年の4月ぐらいから地下貯水槽から汚染水が漏れて、それを貯蔵するためにタンクをどんどん増設していくようになっています。原子炉の一応の冷却のループはできたんですけど、結局それからは全然進んでいないんですね。

――ALPSがうまく稼働してないということですか?

稼働はしてますけど、汚染水の放射性物質で取り除けるはずの62種類全部は取れていません。だから今、ホット試験という言い方をしているんですよ。そのホット試験も、なかなかうまくいっていない。本当はホット試験というのも当初の予定は約3カ月で済むぐらいの話だったのが、もう1年以上も続いている。だから現時点でも、いつ本格稼働するかわからない状況なんですよね。


住民の気持ち、働く人の気持ちが、かなり変化してきていると思います。

――どのように変化したのでしょうか?

最初のうちは地元の方もかなりいたので、「1Fを収束させなきゃ」「浜通りをもとに戻さなきゃ」という気持ちで一生懸命やっていたんだけど、なかなか先が見えてこない。それと住民帰還にしたって国は無理やり地域に帰そうとしているのが見えるし


今までは事故当初は全国の原発が順次止まりましたから、全国から技術者や作業員が応援で1Fに来ていたんです。ところが再稼働の話が出て、PWRの再稼働準備が先行したので、PWRの新規制基準に対応するため、主に西日本から人を呼べなくなった。さらに、東京電力柏崎刈羽原発の6〜7号機の再稼働に向けて、現在はBWRの工事もどんどん始まっている。そうなると1Fで残り線量が少ない人たちやベテラン作業員は、そちらに流れていく傾向になっている状況です。

――1Fが収束してないのに、再稼働が進んでいくことによってベテラン技術者が離れていってしまうという問題が起きているんですね

そうですね。まず第一の問題は、1Fの現場検証が行われない状況下でありながら、政府が再稼働を進めていることです。


――汚染水漏れが最近ニュースになることが多いのですが、あまりにも汚染水のニュースが多すぎて、特に首都圏の人々の間では感覚が麻痺してきているような印象を受けますが、現場ではどうでしょう?

「どういう感じ方か」なんですが、現場にいる人は汚染水に対する意識がそんなにないんですよ。実は汚染水漏れは、報道されないものも以前からいっぱいあったんです。変な言い方ですが、現場の作業員は汚染水に慣れちゃっている人が多いんですよ。

――首都圏の人よりも、もっと慣れている?

はい。もっと慣れてるからこそ、汚染水絡みのトラブルが頻出している部分もあるんです。2月28日、東京電力の相澤善吾副社長がJヴィレッジでの会見で「非常に恐ろしいものを扱ってるんだ」って安全意識をうながす言葉が出ました。あの人がそんなことを言ったのは初めてなんですよ。今まで僕らも、そんな言葉を聞いたことない。

でも、ベテラン作業員とか僕らみたいな長くやっている人は「このベクレルは危ない」「この線量は危ない」とか危険の度合いというのは判断できるわけです。でも見た目からすると線量も汚染も、痛くもかゆくもない、臭いもない、それから見た感じも雨水・普通の水と変わらない。ちょっと濁っているぐらいという感覚。

「これを1滴でも漏らしたら大変だ」という危機感がない人が多いんです。


■収束作業は東電任せではなく、国家プロジェクトでやるべき

――本来だったら収束作業は国家事業でやっておかしくないのに、そうしてないのが問題だと?

僕は最初から言っているけど、国家プロジェクトでやるべきだと思います。本来なら東電を一度解散するべきなんですよ。そこで、そのあとに旧東電のノウハウも必要な部分もあるし、そういう人たちを集めて一つの国家プロジェクトとしてチームを作って、そこに国が予算を投じるべきです。要は、東電が破たんすると困るところがいっぱいあるわけですよ。

国がやらないのは、僕は「第二のリーマンショックを恐れているのかな」と思ってます。もしそうなったら、株は飛んじゃうし、貸し付けている銀行は不良債権をいっぱい抱えちゃうし。それが一番恐ろしかったんじゃないかな。エネルギー政策にしたって東電破たん処理にしたって。全部、日本の経済を考えて作られたシナリオなんだと僕は感じています。

東電は半分、国の資本が入って原子力規制委員会支配下にはありますけど、結局は民営企業なんですよ。その民営企業は黒字にするということは1Fも含めての決算になるので、どうしてもコストなんです。

――著書の中でもコストの話がたくさん出てきますよね。

いまだにコストの話になるんですよね。「廃炉カンパニー」を作ったって完全分社化ではないんです。東電に責任を取らせるのはあとにして、今は国家プロジェクトでやり、1F収束に必要なお金を注ぎ込むべきものは注ぎ込んでやるべきだと思います。東電からのお金の回収は後回しでも構わないから。


――今、日本政府の対応として欠けていることは、まずそこですか?

どこまで真剣に考えるかですよ。たとえばオリンピックは東京でやることが決まれば、赤字になろうが国家予算を投じてでも、国のメンツをかけてやらなきゃいけなくなりますよね。期限は決まっているわけだから。この6年か7年間の間に、規制緩和をする、法改正もすると国を挙げて取り組むわけですよ。

では廃炉に対してはというと、30年〜40年という長い工程だけど、根拠のない机上の空論になっている。それに向かってスピードアップしなきゃいけないはずなのに全然進まない。「足かせになっているものは何?」という検証をしていないし、「そのためにはこういう法律を変えて」「国が責任を持って、こういうのは認めましょう」とか、そういう話っていうのは国会じゃないとできないのに、そういうのが3年たってもなかなか出てこない。


東京オリンピックにゼネコンが取られる

――2020年の東京オリンピック開催が安倍政権で決まりましたけど、今それをやっている場合じゃないという立場ですか?

廃炉のこと考えると、反対ですね。廃炉にしたって、復興にしたって、まず間違いなく、資材も人材もオリンピックに持ってかれますし。ゼネコンも今は1Fにいますが、絶対オリンピックの仕事をしたいはずです。

それは民間の営利企業であれば、やはりそうですよ。1Fには技術的なメリットもないし。たとえば、1Fの工事を請け負ったとしても、失敗した時の影響ってすごいじゃないですか。マスコミに「ゼネコンの○○社の汚染水タンクが失敗」と叩かれるわけですからね。

――オリンピックのスタジアム作る方が、原発事故の収束作業をするよりワリが良いって話になりますよね

それは、そっちのほうが会社の株は上がりますよ。民間の会社であれば、1Fはリスクの高い場所なんですよ。本来はやりたくない場所です。最初のころは、応援という形で、「1Fを何とかしなきゃ」「うちも手伝いますよ」って来てたけど、段々そうじゃなくなってきました。

手伝っても失敗したら、寛大に見てもらう風潮じゃないので。そうすると、「あそこに思い切ってリスク背負っていくか!」というゼネコン会社とか原発メーカー、企業がいるかっていうと、なかなかいないですよ。そういう意味では、ものすごく昔とは変わっています。


原発の場合は外国人を雇用するとなると、やはりセキュリティの問題が出てくるので、そこをどうするか。宗教とか思想とかまたいろいろそこまで調べるのとか考えなきゃいけないという問題が出てくるんですよ。そういうのも、今から動かなきゃいけないのに動いていない。原発の場合は、外国人雇用は即スタートはできないと思いますよ。


■10年後に燃料デブリを取り出すのは「まず無理」

――現場の原発作業員の方では、廃炉までのスパンはどのように考えてますか?

いや、考えられないですよ。茂木敏充経済産業相は「3.11の10年後から燃料デブリを取り出しますよ」って言ってますけど、10年なんか絶対無理ですよ。現場はみんなそう思ってます。僕は1年目から言ってるけど、今の段階で「何を根拠に10年って出てきたの?」って。

廃炉までの期間とされている30〜40年にしたって何の根拠もないんです。飽くまで目標として立てただけで。実際に中身を見てみると、10年後に燃料デブリを取り出せるのかと言えば、僕はまず無理だと思う。現場で働いている人は、ほぼ全ての人が思っていると思いますよ。

――現在、中には入れないのは何号機ですか

主に1、2、3号機の3つです。ただ、無理をすれば原子炉建屋の中には入れますよ。毎時20ミリ〜30ミリシーベルトあるので、5〜10分の世界なんですけどね。


――逆に政治家や東電にしても、あたかも既定路線で可能だという風に言ってしまうことに問題がある?

それに向けて動いてはいますよ。だけど、やってみて初めて分かることなので。着地点があって、そこに一本線で向かっているのとは違うんです。実際には試行錯誤の繰り返しで、「あ、違う」「ここ行くにはこっちの道にいこう」「あ、これだめ」「あ、こっちの道で行こう」という段階。燃料デブリ取り出し開始まで10年計画だけど、そこにたどりつくまで何十年かかるかわからないという状況です。

10年後に事故原子炉のデブリ燃料を、見る、取り出す、という発想は
原子炉自体は壊れなかった、アメリカのスリーマイル原発で可能だったこと…
釜の中だけが高線量だから、ふたの上まで人間が来てファイバーカメラを入れたりしてた。


建屋の中で爆発が起きて、防護服姿の人間が5分しかいてはいけないほどの放射線量の福島第一原発の建屋内…
どうやってファイバーを持って行く、入れるのか…


ALPSも、東芝社内の試験管実験レベルでは62種の元素を隔離できていたが
じっさいに大型設備としてやってみると、わずかにせよコバルトなどが出てきてしまって
これの完全除去レベルが達成できなかったり
配管の腐食や製造欠陥(溶接時に気泡混入とか)的なトラブルで運転が止まったり…
一進一退レベルでいいから、部品の開発が進んでいて、本格稼働に近づいていると信じたい。
なんせ汚染水はアルプスが動く前提で貯蔵していたから、これが動かないことでどんどんたまっていく一方。
グーグル検索:ALPS ホット試験

http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-753.html

ALPSの時も、ラボ試験と検証試験では問題なく62核種の全てについて検出限界以下に除去することができるという実績があったので期待したのですが、実際の実証試験においてつまずいてしまいました。なので、今回の補助事業ではそのようなことがないようにしてほしいものです。

 ◇



この人は、すごく熱心。すごくマメ。
熱心でまじめすぎて、アメリカ政府の原子力委員長をクビになった。陰謀である。
同じように、難癖をつけられまくって首になったのが菅総理だった。

http://www.asahi.com/articles/ASG3D544TG3DULZU00G.html?ref=rss
原発事故時のNRC委員長、ヤツコ氏が福島第一原発視察
2014年3月13日06時13分



写真・図版汚染水処理設備を見るヤツコ氏(右端)=12日午前、福島第一原発


 東京電力福島第一原発で事故が起きた2011年3月に米政府原子力規制委員会(NRC)の委員長だったグレゴリー・ヤツコ氏が12日、同原発を訪れた。同年12月以来で、4号機の使用済み燃料の取り出しの進展や汚染水問題の悪化を挙げて「この間に多くの『変化』があった」と述べた。

 ヤツコ氏は東大での震災3周年のシンポジウムで講演するため、財団法人日本再建イニシアティブの招きで来日。放射能汚染水からストロンチウムなど62種類の放射性物質を取り除く装置「ALPS(アルプス)」と、使用済み燃料の取り出しのため原子炉建屋の上を覆う巨大な建屋が増設された4号機でバスから降り、中に入って現状を見た。

 東電側との意見交換では「炉内の空冷はいつできるようになるのか」「最終的に水の一部は放出するのか」「タンクを造り続けるのか」などと、汚染水問題の先行きについて質問を重ねた。震災当時は福島第二原発所長だった増田尚宏・特命役員が「本当に空冷をしたほうがいいのかどうかも含めてまだ議論はいっぱいある」「汚染した状況で水を置いておくのは非常によくないので、まずは浄化する。その後どうするかは別の議論」などと答えた。

質問内容が濃い…


関連エントリー
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20130920/1379653603
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20130807/1375847084


 ◇



すでに事故原発周辺は
・見限られ
・あきらめられ
その悟りがひろまっていくにつれ、放棄が進んでいる。
悟るに任せる暗黙知…日本国らしいことだ。
だが大津波被災地だって、もうからないことを理由に放棄されたままで地元は憤りを隠さない。
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20140308/1394241152


飯舘村なんか要は田舎=高原牧場地帯だから頑固者の一部やあたまわるい爺婆が居残ってるけど
(けなすための表現じゃないですよ、実態を伝えるための表現ね、現場に行って住民と話したりしたことがある人がね)


南相馬やいわきはいわば都会や市街地なので…教養もあってサラリーマンが多いから…


気づくのも速いし、行動に移ってしまう。やけにいわき市内の廃校が多い。
いずれも浜通り地方は、汚染度としてはかなり低いんだけどね。度合いの問題じゃないと言えばそうだよね。
子供を学校や園に通わせるサラリーマン世帯ってことはさ…子供の健康的将来がすべてだもん。子供は人生が長いからいっぱい被曝するんだから…数値の低さは関係ない。
しかも汚染された土壌だから満足に外遊びできないんで運動能力が落ちてストレスもたまってる。

http://www.asahi.com/articles/ASG333D3FG33UGTB002.html
 東京電力福島第一原発事故による避難によって児童・生徒数が減ったため、今年度末に閉校または休校する公立小中学校が福島県内で7校あることが教育委員会や学校への取材で分かった。原発事故の影響による閉・休校は初めて。

 各市教委や学校によると、事故の影響で閉校になるのはいわき市田人(たびと)地区の3小学校と2中学校、南相馬市立真野小。福島市立大波小が休校になる。

 第一原発から約60キロ南西にある山間部の田人地区では、首都圏から移住者を誘致する取り組みで児童・生徒が増加に転じ、2010年度は地区内の小中7校に計105人がいた。事故後は再び減り、14年度は55人になる見込みで、5校が地区内の小中各1校に統合される。市教育政策課は「放射能を心配して県外に戻る移住者家族が相次いだ」と話す。