先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

一見するとマダラメがとぼけてるが、実はチーム力の無さ

マダラメといえば団達也の悪役。


・覚えていない、はエライサンが罪を逃げるときの定番トーク
・けど本人弁解や当時のTV会議映像のドタバタ狼狽状況を踏まえると「みんな慌てて混乱して憔悴していた」のは事実っぽい=回ってない現場、気持ちばかり先行もしくは思考停止


結局これは、「チーム力があまりに低い」典型例。
元ITエンジニアとして都心のWEBデータセンターで日夜、障害対応ばかりしていた身としては、いわばリスク・マネジメントのベテランとしては、そう断言する。
(勤務形態は24時間交代制で、昼夜とも障害対応だから、じつはERや病棟の看護師と当番医によく似ている。システム障害も急患もいつでもやってくるし)


避難訓練をいくらやっても、危機感は育たないので、非常事態になると慌てたり、すぐ疲れたりと「低い限界」が露呈する。
津波避難でも多かった事例…あの事故原発でも楽しそうに避難する作業員たち…http://www.youtube.com/watch?v=VBWR99hzIAo 近くの火力発電所でも最初は笑ってたhttp://www.youtube.com/watch?v=53rTFZXZW2Q
・結局、模擬戦でも、実験でもいいから、つねに非常事態を経験し、経験を重ねないと、非常時の緊張感や、重すぎる決済の連続に、耐えきれない。だが原子炉はミニチュア実験はできない。


というわけで都内の大型WEBデータセンターにおける監視チームのリーダー補に勧誘されたとこまでしか歴がないにせよ、言わせてもらうならば
「日本で、原発は無理。地政学的に震災と津波が多いし、なにより政府や電力さんに非常事の障害対応スキルが皆無すぎるから」


いや、個々人には、なかには優秀な人はいるだろうけど、それはどの業界でも同じでして
『チーム力』=いわばサッカーのチームとしてどんな困難な局面でも全体統率を乱さず機能的に動けるか(指示できるか)というシチュにおいて、
簡単に陥落…=機能麻痺、劣化、してるようでは…
「日本の原発運用スキル=ゼロ%と断言しないと、まじ日本ヤバイ」のでね。


どうだろうなあ。
・理想像がサッカー日本代表以上とすれば
・TV会議映像や、これまでの時系列などに見る、日本政府と東電の対応スキルは…夏の高校野球の地方予選の『一回戦で敗退するシマリのない弱小校』…かな。
みちゃおれんのよ。練度は低い、緊張感はない…送球ミスるとニヤニヤ笑っちゃってなあ…


むろん米はゴネてくるけど、すっとぼけて、のらりくらりと、原発を渋り続けるしかない。民族全体の命には代えられない。

http://mainichi.jp/select/news/20120817k0000m040025000c.html
東電ビデオ:班目氏 吉田所長への指示「記憶にない」

2012年08月16日 19時27分(最終更新 08月16日 20時48分)
班目春樹委員長=手塚耕一郎撮影


 内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長が、東京電力福島第1原発吉田昌郎所長(当時)に直接電話で事故の対応策を指示し、2号機の空だきを早めたとされる問題で、班目委員長が16日の記者会見で経緯を説明した。詳細について「記憶にない」「覚えていない」と繰り返し、「(自分の指示による)是非の検証は第三者がすべきだ」と述べた。

 東電が公開したテレビ会議映像によると、現場では(原子炉内の蒸気を逃がす)SR弁の操作を急ぐと炉内の水位が急激に下がると認識していたが、班目委員長はSR弁を操作するよう指示。弁が開けられると、炉内の水位が急低下し、「燃料露出のタイミングを早めた」(国会事故調)とされる。

 班目委員長は「(原子炉を冷却する)代替注水設備(消防車)の準備が整っているならば、早くSR弁を開けるべきだと述べた」と説明。その上で、「記憶に残っているのはそれだけ。いきなり政治家から吉田所長につながる携帯電話を渡され、話さざるを得なかった。吉田所長からどんな説明を受けたかはまったく覚えていない。いろいろなことをやっていて状況の変化を把握できなかった」と語った。【中西拓司】

炊飯鍋を使うとわかる。
・水が多すぎるとき:火をかけたままふたを開けてドライベント、数分で水位が下がるのでまた二重蓋をする
・不注意で水が干上がってしまったとき:内底がひからびて焦げるので早急に上蓋の上から注水、中を蒸らしてお焦げをふやかす
ドライベントは蒸気噴出で早急に干上がるので、諸刃なのです。
炊飯の温度なんてせいぜい300度とかだけど
メルトダウン中は燃料温度は2000度とかなので…


はっきりいって今回の事故対応でわかった「大きすぎる弊害」がひとつあって
・政府と東電本店は、基本的に、口を出すな、所長配下にすべての権限を集中せよ、ただし責任の所在は分散し上層部が主に背負うこと


官邸や本店の指示がないと部下を動かせないので吉田所長は大弱りの連続だったのが、TV会議映像から嫌と言うほどわかる。
これはあまりに機敏さを奪った。緊急対応に倍以上の時間をかけたと思う。そしてウェイトタイム(シンキング)が多すぎた。


以下は海自トップOBの持論である。有事対処の究極は、いつの時代も軍である。

◆川村純彦『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力』


・もし中国が尖閣諸島を奪取しに来るような事があれば、まず日本独自で事にあたらなければならないことは当然である。
日米外相会談で、クリントン国務長官はこう発言している。
「問題解決に向けた日本の努力をアメリカとしてサポートしたい」


つまり、まず自衛隊が自ら出動しろ、そうしたら手助けをするというわけだ。


・侵略の危機に直面したとき、総理大臣は、
「主権を侵犯した組織・個人に対し、国際法の範囲内で必要な措置と武器使用を含む作戦行動をとれ」と命じるだけでよいのだ。
後は、現場で自衛隊の指揮官がROE(交戦規定)に則り、全力で作戦を遂行するだけである。



冷戦の昔から、日本に侵攻があると「ノロノロ閣議している間にミサイル落ちてきて全滅」なんて
週刊誌で自衛隊OBが語ったり、そういう映画が上映されてきた。
いわば原発事故は、「以前からさんざん言われてきた組織的な弊害を、これでもかといくつも見せつけた」のであった。