先従隗始・温故知新

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HDDレコーダーのリモコン修繕

もはや6年目使用の東芝XS36


東芝
・リモコンの設計が粗雑というか華奢
(基盤を押さえるフレーム(野球のキャッチャーみたいな役割の)が雑で、ボタンを押すと基盤ごとヨレてしまい接触が悪く、全身がギシギシ言い、しなる)
・ボタンも小さいので関連部品の強度が無い
・しかも導電ゴムのコーティングが浅く、しかもプニプニと柔らかい

・湿気と寒さにも弱く、寒冷硬化で導通しなくなる…まるでアジア製品


ケンウッドや松下など、他社と比較すればわかる。
メーカーによっては導電ゴム部分はプラスチックのように硬かったりと工夫している。


今まではステンレステープを貼って「上げ底」してたが
これも接触が悪く、押し方が職人芸要求であった。
なぜゴムを使うか=凸凹に追随したいからだ。でも金属フィルムにはそう言う柔軟性がない。


なので今回は、どうせ地デジ化でほぼ使わなくなるし
「移植手術」


外科的に、メス(とほぼ同じアートナイフ・プロ)で
まったく使わないボタンの接点だけを水平に切除し(東芝はオタク技術者系なのでムダに多い)
酷使で無反応になった接点の上からアロンアルファ接着。
当然、アルコールと綿棒などでよくぬぐって洗浄しておく。


事前に、よく研究、実証実験しておく。
明らかに、
新品同様で全く使われてない接点をズラしてきて
酷使してるボタンの端子に触れさせると、軽いタッチでもレコーダーは動いた。


丸や四角といった形状は関係なく、所詮は2点接触なので、流用できる。


東芝は摩耗しやすい=なるべく移動距離を減らしたい
なのでほぼゼロ距離にクリアランスを詰めた。
軽く触れると動作するので、ほとんど摩耗しない。
ここらへんは、業務経験者の勘所や理論立ての領域だね。


ついでだから、液晶インジゲータは組み込まず廃棄。
電池代を稼げる。まったく使ったことがないし。


…それにしても、中には移植してしばらくするともう導電しなくなることがある。
相当に導電ゴム部分が薄いと言うことだ。
生産ラインで、全ボタンの導電ゴム塗膜の薄さ均一化もちゃんとはかれてるのかアヤシイ。
製造がマレーシアや中国だし…ゴム部品は家電もクルマバイクも評判が良くない。


この点では、全盛期のソニーは最高品質で、
96年の大晦日にボーナスで買ったトリニトロン14GP2の
買ってからずっと使わなかったリモコンを分解し、導電ゴムだけ切除し流用したが
「すっげ…これプロっていうか、第一人者…」
匠の技なのだ。手間もかけ、凝りに凝って。安定操作性や耐久性を実現してる。
キレイ、緻密、合理、申し分ない。


東芝XS36は2004年製だが、とてもひどい。リモコンは高校生の教材レベル。
日本で設計してないかもしれないな。
導通しなくなった導電ゴムを切除し、そのゴムだけリモコンの端子に押し当てて導電試験をするのだが
本体は微塵も動作しない…品質がワルいのだ。サムスンだのハイアール並かそれ以下だ。
なんせゴム自体はほとんどすり減ってない。ってことは
混合してるカーボンがよほど少ない。薄い。だからちょっとした酷使で微塵にすり減っても、導通しなくなる。


トリニトロンのリモコンから移植した導電ゴム端子は、
過敏というぐらいに良く反応してくれる。堅さもちょうどいい。
なのにゴム端子のサイズは1/3くらいと極小。それでも長年耐久性を確保してる…
なにより、着地脚が一杯付いてる。
導電ゴム端子だけだと、押したらブレてカドだけ接地し、偏摩耗していくから短寿命だ。
ソニーのは四つ角に設置脚が付く。作業中のクレーン車と同じだ。


日本が、コストに負けて、技術と品質を、捨てたのだ。


おれは90年代の製造業を渡り歩いて、それを生で経験し見聞した。
00年代のホンダ傘下でさえ、クルマもねじ締めも知らないし興味もない
そんな阿呆の集まりでしかないことを潜入取材してきたのが2010年初頭。
コストダウンとリストラの連続が、すっかり骨抜きを加速した…骨粗鬆症