先従隗始・温故知新

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バイスターターの断線の修理法


主にスクーターで採用されており構造も多彩だが一例としてフュージョン(前期)の修理法。
後期型はキャブの端子などが設計変更されている。


フュージョンの場合設計が1985なのでどうしてもあちこち粗っぽい。
「もっとこうしろよ」みたいな構造は90年代以降の新機種に実装されている。


縦置きエンジン自体が振動の鬼であちこちを壊す。けど外装やキャブに振動対策がない。
カウルは揺れてうるさくて割れまくる。
キャブのインマニが割れてきてバイスタータの配線もぶら下がってるだけだからやがてぶった切れる。
(インマニ保護として、シリンダーからステーを伸ばしてキャブ前のJ字エアインテークにボルト・オンして振動を減らす対策法が有名。)


原付のバイスタータは玉ねぎ皮むきの要領で分解しやすいがフュージョンはエンジン熱の関係でそれがない。
要はニクロム線ヒータと同じ熱線メカニズムなので、中途の配線が切れたらバイスタータ本体をばらして端子を引っこ抜いて配線を延伸しないとならない。切れる位置は決まって本体から配線が出た瞬間の位置だから(プッチンプリン構造)、余分な長さが余ってくれない。


まず配線を埋め込みつつ水密構造となってるゴム蓋をラジペンで引っこ抜く。(機種によってはココも接着(シリコンシーラント)なので引っこ抜け無い)
するとギボシ端子が縦にふたつ刺さっている。上の緑色の配線の端子は抜けば取れる。
下の黄色線の端子は残念だが輪っか構造になってて中のスプリングをぐるりと囲んでひっかかっている。バイスタータ本体は基本的に接着で密封され二度と分解はできないので、この輪っかを強く引っ張って切断する。肉薄極細なので切れて取れる。


なるべく銅線は同じ色同じ太さのを買っておく。うちでは手持ちがないのでPCケーブルのアルミ線の細いのにしてしまったが1万km程度持てばいいので妥協である。色が同じでラッキー。
少し長めに4cm程度で切る。なんとかギボシ端子の爪を起こして=爪でつぶされてる銅線を破砕して撤去してから、針などを入れてこじあける。ギボシ端子が硬質なので焼入れでないと負ける。


新しい配線をギボシにセットし(ギボシ爪を潰した時に広すぎるとゴム蓋に入らないので注意)、
まず下の端子を少し楕円に折り曲げてバネにして、挿入すると、うまい具合にはまり込む。
次に上の端子だが、本体のシリンダーがスプリングに押されて強く突出し、挿入できないので、本体上部に1.5〜2mmドリルで穿孔(プラカバー以外は穿孔しないように!)、そのまま停止したドリルでシリンダーを押すと、ギボシ端子を挿入する隙間ができるので、器用に挿入する(1mmほど入る)。ドリルを抜いてギボシ端子を押し込むと全部入る。開けた穴はM2かM3のボルトで塞ぎ、ナットを逆方向に回してかしめる。ボルト長6mm以下ならちょうどいい。


ゴム蓋の穴に配線を通し、ギボシ端子も通す(爪を潰した時に幅が広すぎると入らない)。
ゴム蓋の二重パッキンを本体へ押し込んで完成。(ここで2配線間の抵抗をテスターで見ておく、うちは4.3Ωなので正常だった)
あとはハーネス側とハンダ結線。ビニテで絶縁と水密化。


新品でも4千円だけど(現時点の時価)…暇と技術があるなら挑戦しては。