先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

伝染病で体中から血が噴き出すような…福島原発の『欠陥』汚染水タンク


ツギハギのボルトオン型=非溶接フランジ型の安物タンク300基から『次々に』水漏れ…毎日のようにあらたな水漏れ発覚…


国費でも何でもいいから、スピーディに溶接の通常タンクにリプレイスしていかないと、大変だぞ…
ドイツが言及したように、国際社会の方々で騒がれる。
そもそも地面を掘り下げた『シート敷きの貯水槽』での汚染水漏れから一気に問題は大きくなった…あの汚染水を移した急場シノギのフランジ型タンクが酷暑を経て劣化してもっとひどいことになって=自転車操業が完全に破綻…東電の事故処理と言い政府の再稼働騒ぎと言い「安易なことえおやって、結局は爆死」…きちんとやるべきことをやらずに避けていたからだ…うまくいくこと、儲け、すべて逃してしまった。もう国内をどうごまかしたり圧力をかけてもなお、国際社会(有力な先進各国、それに次ぐ各国)が許すまい…再稼働どころではなくなった。


五輪招致もなまじ300km先の東京だけに厳しいだろう…2024までお預けになる。

http://www.asahi.com/international/update/0902/TKY201309020042.html
脱原発、正しかった」 メルケル独首相が福島に言及

写真:1日、テレビ討論会に臨むメルケル独首相=AFP時事拡大1日、テレビ討論会に臨むメルケル独首相=AFP時事

 【ベルリン=松井健】ドイツのメルケル首相は1日、22日の総選挙に向けたテレビ討論で、東京電力福島第一原発放射能汚染水漏れを念頭に「最近の福島についての議論を見て、(ドイツの)脱原発の決定は正しかったと改めて確信している」と述べた。独メディアは汚染水漏れについて批判的に報じている。


http://mainichi.jp/select/news/20130903k0000m040088000c.html
汚染水漏れ:別区域で新たに? タンク底部で高線量検出


毎日新聞 2013年09月02日 22時56分(最終更新 09月02日 23時16分)
汚染水の漏れが見つかった東京電力福島第1原発のタンク群=福島県大熊町で2013年8月20日、本社ヘリから西本勝撮影

 東京電力福島第1原発の地上タンクから高濃度汚染水が漏れた問題で、東電は2日、新たにタンク1基の周辺で毎時100ミリシーベルト以上の高い放射線量を検出したと発表した。最初に漏れが見つかった区域を含め、敷地内の4区域で漏れを疑わせる測定結果が出たことになる。

 高線量が確認されたのは、汚染水約300トンの漏れが見つかったタンクがある区域から南に約100メートル離れた「H6」エリア。2日のパトロールで見つかり、測定されたのはタンク底部。水漏れの痕跡はなかった。東電は原因を調べる。

 一方、「H5」エリアにある汚染水をためるタンクの配管下部で毎時230ミリシーベルトの高い放射線量が検出された問題で、東電は1日、配管に付いていた水滴から1リットル当たり3億ベクレルを検出したと発表した。東電は「汚染水が漏れたと考えられる」と説明した。この配管はタンクとタンクをつないでいる。タンクと配管との接続部分から、90秒ごとに1滴ずつが漏れているのが8月31日に分かり、タンク側の弁を閉めた。【鳥井真平】


 ◇


もう2年半か…すでにドライキャスクの頃合いなんだな、あくまで未破損の核燃料棒の場合だけど。


メルトダウン核燃料デブリの問題は、
デブリなのでチリとか破片とか微粒子とかである…空気中保管では原子炉のスキマから外へ出てこないか


スリーマイル原発事故は、すぐにメルトダウンを止められたので「原子炉容器の破損がなく」、真水のみで済んで、5年間放置後にファイバーカメラで中の様子を見られた。
福島第一原発の場合、上記のように粉も微粒子もあると思われ、ドライにしてしまうと蒸気も手伝って屋外へどんどん出てきて、福島県内はおろか、岩手や山形や新潟、ひいては東京や北関東など各地へ飛んで来かねない…現地廃炉作業も線量増加で中断や縮小を迫られかねないが、一度抜いてしまった水をまたどうやって浸すのかがまた難しいこととなる。
やっと事故後の汚染が雨で流れて放散&地中浸透したのに、また新たな空気中や地表の放射能汚染に悩まされ、被曝病発症する市民が増えるが「因果関係は不明」と自己責任治療で処理される悲哀…事故後一年間に不自然な急死をするひとが芸能人だけでも相次いだ…地井武男山口美江ら…


しかし水冷にも問題がある…
・水没だと、海水も混じっており、放射線も手伝い、どんどん原子炉構造物および施設内の水没区画が錆びてくる…形状を維持できない恐れ、破れれば大量汚染水漏れの恐れ…


なんせ高すぎる放射線量で接近もできず、まして中を見ることもできない…
手探りの中で、最適法を模索していかねばならない…


『破綻は当たり前で、うまくいったらラッキー』
そんなことの連続だ、これからも…甘くはない。
放射線も水漏れも錆びも、原発敷地内=丘陵地帯の地下水脈も、ぜんぶ大自然だから、自然相手は甘くない。

河野太郎 ‏@konotarogomame 7時間

国会エネルギー調査会。もし予備費で汚染水対策を実施した時に、その費用を東電に請求するのか?エネ庁、答えられず。もし、納税者が負担するならば、経営陣、株主、貸手の責任がまず、問われる。東電に請求した時に電力料金への転嫁はできないはずだが、東電は破綻しないのか。
https://twitter.com/konotarogomame/status/374459779789225985


河野太郎 ‏@konotarogomame 15時間

原発ゼロの会主催の国会エネルギー調査会。汚染水対策。複数の専門家から事故を起こした原子炉がそろそろ空冷できるのではないかと提案。300kWの発熱量を空冷できるかが争点。
https://twitter.com/konotarogomame/status/374445544313065472


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もっと「厳しさ」を直視しないと…現実を直視しないと。


原発事故はいわば、『三位一体の責任』である。
・事業者…東電および各電力の責任
・米政府の仲介で事業を持ちかけ、主幹政策としてきた政府の責任
原発込みでしか実現し得なかった東電管内6500万kw(最大)の電力消費を満喫してきた、国民責任


殿様や王様が、下々を支配してやっているのではない。
国民主権、国民の代表にやってもらっている支配だ。国民にも責任はある。


そして東電の原発電気を大いに買っていたことの責任も国民側法人側にある。
関係ないでは済まされない。ふつうのありがちな政治責任、行政過誤とは違う…


原発事故と、事後処理のまずさで、「japan」が各国からひんしゅくを買っているんだから
その意味でも、政党と行政と東電だけの問題ではない…国民法人を含めた日本として取り組まざるを得ない。いわば国家…家庭問題だからだ。
それに政府と東電ぐらいではオーバーキャパシティなのは明白だ…ぶっちゃけ。規模が不足しすぎている。政府の既有予算ぐらいでどうこうなるものではない。
住専だの不良債権の解消にもJALにも常に税金投入されてきた…もっと大きな原発事故なれば、わかるだろう…


一文でまとめると…
「これから日本は、原発のリスクというものを、肌で体感して理解していくことになる」
汚染被災地の方々も、3年目ともなれば、色々と体験から理解し、時間をかけたことで受け止めもあきらめもしている…それを全国民がやることになる。事故直後はパニック気味で論争ばかりしていたけどね…時間をかけて色々と目の当たりにして冷静になった…人は、口でいくら説明したって納得するもんではないからね。

池田信夫 ‏@ikedanob 8月31日

納税者が東電の破綻処理を求める行政訴訟を起こす手はありますかね。このまま放置すると納税者の損害がふくらむから。RT @konotarogomame: シリアと汚染水 http://bit.ly/14766nr
https://twitter.com/ikedanob/status/373679512783167488
河野太郎さんがリツイート


関西ですら、人々の意識は環境適応として変化している…

河野太郎 ‏@konotarogomame 8月30日

関西電力によると今夏のピーク時の電力需要は、やはり暑かった2010年夏と比べても10%減少した。今年夏の最大需要は8月22日の2816万キロワット。節電が定着した結果、10年夏のピークの3095万キロワットと比べると、原発3基分の電力にちかい279万キロワットのピーク需要の減少。
https://twitter.com/konotarogomame/status/373254842069692416


http://www.tepco.co.jp/forecast/html/calendar-j.html
東電管内2013夏季最大
8/9
5,093万kw 実績
5,492 最大供給力


http://www.nikkeibp.co.jp/news/eco08q3/577326/
東電、今夏の電力需要は6110万kW、供給6600万kW超、電力不足を回避へ
2008年7月4日 15時5分
ただし、休止中だった古い火力発電所をフル稼働するなどして供給を確保している状況だ。そのため東電は企業や家庭に節電を呼びかけている。

火力増強などで間に合わせつつ節電を呼びかける…
なんのことはない、震災前からそのパターンは不変だ。


 ◇


いよいよトリチウムのみ残った汚染水を海へ放水へ…


これは事故前からあったことである。そして害は非常に軽微だ。
はたして歴代の核実験によるトリチウム害と比較しても、影響が数値に出るかどうかは微妙…どのみち雨水の各地別トリチウム・ベクレル検査は定期的に必須となろう。


原発には様々なリスクがある…一切ゼロにはできない…
まして東電の汚染水処理は破綻し「緊急事態」なのだ…


あるいは濾過水の一部を保管し、ヘリウム3採取に転用することもできる。なかなか高価な高価値品だ。
トリチウム水にも学術用途がある…
転んでもただでは起きない。事故原発を観光地にする愚行より遙かに有意義だろう。

http://www.asahi.com/national/update/0903/TKY201309020521.html
トリチウム、薄めて海へ流すべき」 汚染水で学会見解


 【木村俊介】日本原子力学会事故調査委員会(委員長、田中知・東京大教授)は2日、東京電力福島第一原発事故で増え続ける汚染水について、放射性物質の除去装置で取り除けないトリチウム三重水素)は薄めて海に流すべきだとする見解をまとめた。ほかに手はなく、高濃度の放射性物質が漏れるリスクを減らすべきだとしている。

 この日公表した最終報告書の原案の中で示した。

 原案の中に、トリチウムを自然界に存在する濃度にまで薄めて海に流すことを盛り込んだ。トリチウムは水素の同位体。法で定める放出限度は1リットルあたり6万ベクレルで、放射性セシウムに比べ千分の1の濃度。水として振る舞うため調査委員会は生物の中で濃縮されることはないとしている。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%87%8D%E6%B0%B4%E7%B4%A0
三重水素(さんじゅうすいそ)またはトリチウム (英語: tritium) は水素の同位体の1つであり、特に放射性同位体である[1]。


β崩壊
三重水素は弱いβ線を放射しながらβ崩壊を起こしヘリウム3 (3He) へと変わる。半減期 は12.32年である[1]。
三重水素から発する低いエネルギーのβ線は、人間の皮膚を貫通しない。また、この低いエネルギーであるがゆえに、三重水素の標識化合物は、液体シンチレーション計測法でないと検知できない。
三重水素原子核ベータ崩壊して、ヘリウムの原子核になるときに 18.6 keV 相当量のエネルギーが発生する。


トリチウム
地上に存在するトリチウムのほとんどは酸化物である三重水素水、トリチウム水 HTO として存在する。
天然存在濃度では、一般の水 H2O と性質や反応にほとんど違いがなく、水の理想的なトレーサーとしての利用がある。宇宙線の作用による生成速度を一定とみなせば、放射性壊変による消失速度が一定であるので、地球における天然のトリチウム総量は古今とも一定値となる。

大気循環しているトリチウム水濃度はおおまかに古今東西で動植物も含め一定値と考え、水中濃度の低下量から大気循環からはずれた期間を知る地下水の年代測定が可能である。土木、農業方面での地下水流動の実証的な調査に役立てられている。


環境
トリチウムはおもに水に取り込まれており、水圏(蒸気・降水・地下水・河川水・湖沼水・海水・飲料水・生物中)に広く拡散分布している。

天然のトリチウム宇宙線と大気との反応により生成されるが、その量はわずかであり、それよりも多量のトリチウムが1950年代の核実験や原子炉及び核燃料再処理により発生し環境中に存在している(フォールアウトトリチウム)。


http://www.cnic.jp/modules/radioactivity/index.php?cat_id=1
生体に対する影響
放出すされるベータ線は水中で0.0mmまでしか届かない。体内取り込みによる内部被曝が問題になる。10,000ベクレルを含む水を経口摂取した時の実効線量は0.00018ミリシーベルト、10,000ベクレルを含む水素ガスを吸入した時の実効線量は0.000000018ミリシーベルトになる。2つの間に10,000倍の差がある。
最近の雨水中のトリチウム濃度を2ベクレル/リットルとして、この水を1年間摂取すると、実効線量は約0.00004ミリシーベルトになる。ふつうの人がトリチウムによって受ける年間実効線量はこの程度であろう。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A03
ヘリウム3は、ヘリウムの同位体である。


存在
ヘリウム3は地球の大気中ではヘリウム4の100万分の1しか存在しない。しかしながら太陽大気中には0.0142%の同位体比で存在し[2] [3][4]。このため月面の岩石からヘリウム3の採掘を試みる研究も行われている。


人工合成
ヘリウム3は地球上において存在量が稀少であるため、リチウム6 (6Li)に陽子ビームを照射することによる人工合成が検討されたが、反応断面積が小さいため有利な反応といえるものではなかった[6]。


http://kelvin.phys.s.u-tokyo.ac.jp/japanese/research/helium3.html
何に役立つの?
 ヘリウム3は、その特殊な製法のためヘリウム4より3万倍も高価なので、基本的に研究用途にしか使われません。

言い換えれば福島県にとってはビジネスチャンスだ、皮肉だが…ただ採算ラインに乗るかは不明。
10年は保管しなくてはならない…その後は徐々に核崩壊量が増えてくる。水の容積の割に採取できる量は多くはない。


警告側のデータはたとえばこちら。

http://einstein2011.blog.fc2.com/blog-entry-749.html
京都大学名誉教授 斎藤眞弘 「トリチウム、水、そして環境」より抜粋

http://homepage3.nifty.com/anshin-kagaku/sub040208saitou.2.htm

■胎児期に母体を介して取り込んだトリチウムは4週間後(ヒトで言えば多分15歳くらい)には90%以上が体外に排出されてしまう。一方、体内に残留するトリチウムを、自由水、たんぱく質、脂質、DNAなどの成分ごとに計ってみたところ、たんぱく質やDNAなど有機成分に含まれるトリチウムの割合が、時問とともに増えることがわかった。


以前NHKがうっかり放送しシニア原子力関係者からバッシングを受けた「追跡!真相ファイル」(12月28日放映)では、「アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域で小児ガンが急増した」という報道があった。

ただこのアメリカの場合、トリチウムだけかは不明なんだけど…排水にあらゆる核種が「基準値以下」で含まれる。
福島原発の処理プラントでで濾過された水はトリチウムのみであるし、川ではなく海への放出である…地表も絡まない。なにより「多種多彩な核種が豊富に含まれる【高汚染水】がタンクから漏れてそのまま海へ漏出し続ける方がよっぽど健康被害は甚大だ」という、ありがたくない二択状況である。こいつらは地中浸透もするから土壌も地下水も汚染された。
そしてアメリカでは街中でも平然と原発がある…福島事故原発の地下水脈を飲むような、そんな感じの住民が居る。井戸水の汚染が川への排水なのか原発の煙突からの蒸気排出のためなのかすら不明だ…セーラが被曝したのが井戸水なのか芝生なのか空気なのかまったく不明…医療統計データは引っ張ってきたけど、地域線量マップ調査・サンプル核種分析調査のデータはそろえてない。
なんせあっちでは川へ無濾過のまま垂れ流していた時代もあり…原爆開発直後など。


映像は以下
http://www.dailymotion.com/video/xncvsv
http://shinurayasu.wordpress.com/2011/12/29/nhk-%E8%BF%BD%E8%B7%A1%EF%BC%81%E7%9C%9F%E7%9B%B8%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E4%BD%8E%E7%B7%9A%E9%87%8F%E8%A2%AB%E3%81%B0%E3%81%8F-%E6%8F%BA%E3%82%89%E3%81%90%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%9F%BA/
跳んでる警視?トンデル博士
このセーラちゃんの件では、地域の汚染分布=線量を調査していない…核種調査もしていない。
なので、土壌汚染か井戸水汚染か、なんの核種が疑わしいか、きちんとわからないままだ…


…しかし、おれの独自調査から察するに、「原発周辺は汚染されてて当然」という感じだった。
敦賀原発周辺も、東海原発周辺も、おそらく震災前から線量は所々高かったのだ…微粒子が舞い飛んでいる。線量計の変動が激しい。
東海JCO周辺地区では臨界事故前から被曝疑いの病気が多かったとか何とか…以前に読んだソースが中々発見できないんだけど。
東海原発付近
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20111213/1323731776
敦賀原発周辺
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20111120/1321746738


この番組に出てくる、テネシー原発で働いてたおばあちゃんも、あきらかに原発敷地内に舞い飛ぶ放射性物質によって被曝を繰り返している痕跡…井戸水だけを汚染ソースと断定する以前の話だよ。ウランだのストロンチウムだの、何が降ってきてるかわかったもんじゃない。おばあちゃんだけに、学者の知識もまだ乏しく防護服も充実してなかった時代の勤務だろう…




関連するエントリー
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20120130/1327855356


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http://mainichi.jp/select/news/20130904k0000e040182000c.html
福島第1・汚染水:海外メディア辛辣報道


毎日新聞 2013年09月04日 11時20分(最終更新 09月04日 11時57分)
原子力規制委員会の田中委員長(左手前から2人目)に鋭く斬り込むフランスRTL放送のルジャンドル記者(右)=東京都千代田区の日本外国特派員協会で2013年9月2日午後1時36分、朴鐘珠撮影


 東京電力福島第1原発の汚染水事故で、海外メディアが日本政府や東電に厳しい目を向けている。2020年夏季五輪の開催地決定を前に470億円の国費投入を打ち出したことも「東京の集票目的」とみなされ、反応は極めて辛辣(しんらつ)だ。後手に回った汚染水事故が、五輪招致のみならず、日本政府の信用に影を落としている。【朴鐘珠、ベルリン篠田航一】

 猪瀬直樹東京都知事国際オリンピック委員会(IOC)総会のためブエノスアイレスに乗り込んだ2日、都内の日本外国特派員協会原子力規制委員会の田中俊一委員長が記者会見に臨んだ。記者席は満席、立ったままの記者もいた。

 田中氏が、汚染水の放射性物質の濃度を基準値以下に薄めて海へ放出するのもやむなしと発言すると、仏AFP通信は「福島の(汚染)放水避けられず」と速報。オーストラリアの全国紙は「海を核の捨て場に」の見出しを掲げ「環境保護論者や漁業関係者、近隣諸国の激しい怒りを買うだろう」と伝えた。

 会見で田中氏に質問したフランスRTL放送の記者、ジョエル・ルジャンドル氏は3・11以前から日本で取材している。フランスも原発大国。同氏は原発への賛否以前の問題として、東電の企業体質に嫌悪感を抱いていると語る。「情報を公開せず、疑惑が浮上するとまず全否定する。ほとぼりが冷めたころに事実を認めるので非常にずる賢い。日本人や日本メディアの忘れやすい気質を利用している」

 マドリードに本社を置くスペイン通信社の東京支局の男性記者、アンドレス・サンチェス・ブラウン氏(33)は、震災後に宮城でボランティアをしながら、福島の被災者を取材してきた。参院選直後に汚染水漏れが発表された背景に意図的なものを感じており「東電をウソつきとまでは呼ばないが、事実を矮小(わいしょう)化させ発表しているのが分かる」と言う。

 外国人記者の東電への不信感は、世界各地の報道に反映されている。独紙フランクフルター・アルゲマイネは「東電は外国人記者に『原発は制御下にあり危険は全くない』と説明したが、汚染水は太平洋に流れ込んでいた。こうしたウソと隠蔽(いんぺい)工作で、東電が本当に事故から学んだのかと国民は疑念を深めている」と非難した。

 批判の矛先は、原発再稼働と輸出に突き進む安倍晋三政権にも向かう。米紙ニューヨーク・タイムズは「安倍首相が事故処理に積極的な役割を果たすと約束した2週間後に汚染水漏れが発覚した。約束に対する首相の真剣味が問われる」と指摘。政府が3日発表した470億円の汚染水対策費について、米AP通信は「大部分が発表済みのもので、五輪開催地の投票を前に安全性の宣伝との見方が大勢」と伝えた。4日付の韓国有力紙、朝鮮日報論説委員のコラムで「(IOC総会を意識した対策ということが)事実だとすれば、日本は原発を安全に管理する能力も良心もない国だ」と書いている。

 サンチェス・ブラウン氏は、五輪候補地のライバル、スペインでは汚染水という「敵失」を歓迎するような報道は見当たらないとしつつも「五輪には海の競技もある。東京湾が福島から離れているとはいえ、汚染水が選考委員に良くない印象を与えているのは確か」と厳しい見方を示す。