NHKスペシャル 除染 そして、イグネは切り倒された
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/1007/
福島県南相馬市。阿武隈おろしの強風から家を守るために「いぐね」と呼ばれる屋敷森を持つ家が多い。最近、そのいぐねを伐採する家が相次いでいる。福島原発事故で飛散した放射性物質がいぐねの杉の木に付着して、なかなか周辺の放射線量が落ちないためだ。
政府は1月「放射性物質汚染対処特措法」を施行し、汚染地域の除染に乗り出した。しかし、その除染が大幅に遅れている。理由の一つは除染で大量の放射性廃棄物が発生すること。廃棄物を安全に保管するための仮置場は周辺住民の反対が根強く決まらない。もう一つは、除染には莫大な費用がかかること。住民の不安を解消するため徹底的な除染を行ないたい南相馬市など自治体に対して、環境省は費用のかかる除染方法を認めず、いぐねの伐採も必要ないとするなど対立している。
政府は年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下なら健康に大きな影響はないという。しかし、住民は信じない。除染が遅れれば、避難している家族は帰ってこない。一方、小さな子どもを抱えて地元に残った家では、いぐねを伐ったり屋根瓦を葺き替えたりの自衛手段をとり始めた・・・原発事故によって地域崩壊の瀬戸際に立たされる福島からの報告。
原発爆発によるセシウムなど霧状の放射性物質は、地表に降下すると
・1年目:植生や建材などの表面に定着、あるいは移動する
・2年目:ケースバイケースで、多くが、あるいは一部が、風雨で流され飛ばされ移動して、表土へ移動する
・以降、徐々に深層土へ移動または水流で海へ
つまり、南相馬につきっきりの東大の児玉教授が指摘するように、
・地方行政主権でやらせて、中央は要求に応じて予算などを下ろすだけでいい
・現場は家屋単位でもまるで実情が異なり、見積もりが難しいので現場主導にする、中央の画一的でアップデートの遅いガイドラインはむしろジャマになることも多い
児玉先生曰く「刻一刻と変わる実態に合わず、古いままのガイドラインを【金科玉条】のようにふりかざし、それを元に一年後に人事院で通す」
基本、児玉先生も現場主義なので、基本的に先生の言ってることに間違いは無い。
一年目は落ち葉や樹皮にくっついてたセシウムは
二年後の今やそこから流出し地面に浅い位置にたまっている。
しかし中央省庁(環境省)は、事故直後のガイドラインのまま「落ち葉を集めなさい」とやるから全然、除染しても効果が無いケースが相次ぐ。
現場では、次々に新しい設備が必要と判明する…しかし環境省は及び腰で、ガイドラインを崩したがらない(機械設備を導入できない…高額以前の段階で躓く)…公式の家屋除染がなかなか認可されなかったのもそんな理由だ。
日本の行政主導では、いつまでたっても10年たっても何も片付かない。
かつて中央軍司令部主導のベトナム戦争でもそういうことはあったし、補給路を机上の空論で軽んじた旧日本軍も最前線現地は飢餓や物資不足で玉砕した。
地域医療もそうだ。省庁>医師会>地方医療がループして、それぞれを怖がってるから何も進まない。大胆にならない。
独断・独裁=リーダーシップがほしいという。だがどうせ誰かがそういうことをすれば魔女狩りされて火あぶりになるのだ…
システムエンジニアからしたら、こんな全体統合や全体設計が不十分なシステムのリモデルなんて腕が鳴る領域だが
独裁者になって、善い行いをいっぱいしたあげく、火あぶりになって石を投げられて死ねというのでは、誰もやりたがるはずはない…
以下の高田病院だってそうだ。エンジニアからすれば病院建て替えは当初案のとおり高台=海抜35m地点しかあり得ないが(ほんの数百m先)
やれ民意だニーズだと沿岸に市街地に作るよう陳情されれば、悪しきポピュリズムは311大津波で病院を押し流し廃墟にした…
病院長はチリ地震津波で旧病院が浸水した苦い経験があったが、押し切られてしまった。
真実を知る者は孤独である。かつては王や貴族、最近でも高級役人や組織トップなど。
時に、孤独な真実が唯一の正解であれば…真実を知らない大衆民意ほど時に猛毒となるものはない…誤答でも大津波のように数の論理で押し切ってくるので止められないからだ…
おれも長野県の生産現地で数年前、ひたすら(当時)前知事の田中康夫を憎む農家じいさんの戯れ言を聞いていたが…やはり百姓風情の無知蒙昧から来るお門違いであった。天皇は神だから無罪だとかオカミは無謬で絶対正しいとかああいう戦前の土下座思想に洗脳された機械的思考でしかなかった。農協様にさからったり破壊しようとする田中が唯一悪なのだと本気で言うから笑いもこらえたしあきれてばかりいた。中央も地方も両方知っていればそんな発想は出てこない。
日本全国に数千万人いるこうした【民意様】多数が、役人やヤクザとセットで社会改悪を繰り返してきた…今や違法つぎはぎ建築のようであり今にも倒壊しそうである。
NHK ETV
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/1007.html
わがまちに医師を
〜地域医療と霞が関の半世紀〜
東日本大震災によって、戦後長年にわたって東北の地域医療を支えてきた病院が甚大な被害を被った。しかし実はそのほとんどが、震災前から、医師不足と赤字経営に苦しむ医療過疎地域だった。
岩手県陸前高田市の県立高田病院では、建物が津波に飲み込まれ、診療中止に追い込まれた。今は、全国から駆けつけた応援の医師たちの助けを借りながら、何とか仮設診療所での診察を続けている。この応援が打ち切られたとき、いったい誰が陸前高田の医療を守るのか。明確な青写真はまだ描けずにいる。
福島県では、福島第一原発の事故後、放射能による健康被害を懸念し、医師の離職が相次いでいる。原発事故が、もともと深刻だった医師不足にさらなる拍車をかけているのだ。今回の震災が、長年未解決のまま放置されてきた問題を、あらためて浮き彫りにしている。
なぜ、地域医療は疲弊してしまったのか――。我々は、日本の医療行政の中枢を担った厚生省キャリア官僚OBと日本医師会の元幹部らに、長時間のインタビューを行った。
その貴重な証言から見えてきたのは、医療費の財源や保険料負担の調整に追われる一方、どんな医師を育て、全国に医師をどう配置すべきかという中身の議論がおきざりにされてきた実態だった。
番組では、町にもう一度病院を取り戻そうと模索を続ける岩手県立高田病院の半世紀の歩みに、霞が関の官僚OBや日本医師会の元幹部らの証言を交差させてゆく。その歴史をたどりながら、超高齢社会に突入した日本で、これからも持続可能な医療の姿を考えてゆく。
岩手県立高田病院(陸前高田市)は、東日本大震災の大津波の直撃を受け診療停止に追い込まれた
昭和27年に高田病院に赴任した元院長の片野嘉一郎氏。定年後も非常勤として病院に残り、大震災の直前まで診療を続けた
片野さんが赴任したころの高田病院。昭和35年、この病院を大火災とチリ津波が襲った
昭和36年「国民皆保険」導入された当時の厚生省元事務次官・幸田正孝氏
地域医療の充実のためには、一般的な診療を幅広く行える医師が必要だと訴える聖路加国際病院理事長・日野原重明医師
なんというか…日本の行政や電力のように往生際が悪いと言うことがないのは、すばらしいね欧州各国。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20121008-OYT1T00563.htm
ベルギー、ひび停止の原子炉2基そのまま閉鎖も
【ブリュッセル=工藤武人】電力の約6割を原子力に依存するベルギーで、国内の7基の原子炉のうち2基の原子炉容器からひびが見つかったために停止し、電力不足の恐れが出ている。原子力管理庁のウィリー・ドゥローベレ長官は、この2基がそのまま閉鎖される可能性も指摘している。
停止中の2基は、ベルギー北部のドール原発3号機と東部のティアンジュ原発2号機。今年夏の定期検査で異常が発覚した。
読売新聞との会見でドゥローベレ長官は、ドール3号機では最大9000か所、ティアンジュ2号機は約2500か所のひびが確認されたと説明。「再稼働の是非を巡って専門家の意見が割れれば、閉鎖されることになる」と語った。
(2012年10月8日19時53分 読売新聞)