先従隗始・温故知新

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日本の成長率を下げても増税したい財務省

きょうの別エントリーのつづき。
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20120131/1327936321


いまトレンドである政策や流派だけでは、栄養失調なのだ。
むろん今と反対のそれらだけでも、同じこと。
野菜と肉。数学と語学。

夫婦関係が、鍋料理が、思わぬシナジーを生むというこの着想に、いい加減に日本もますます追い込まれて観念して採用しない限り、キリギリス型の日本の末路は悲惨であろう…成人病も不摂生が続くほどに重篤でひどい結果が待っている。

いわばいまの日本の国政の動かし方や、社会統治の実際は、唯我独尊で、人間関係が機能していないのだ。しているようでも利権ムラの内側の談合的な都合のみであり、それはつまり機械的だ。平安貴族の殺し殺される派閥抗争から何も進化してない。

お父さん方に付いたら優遇で、お母さん方は皆殺し。
社内抗争でA部長に付いたら略、B部長に略。
そんなことをやっていたら、という話。というかすでにグローバル多国籍企業化したおおくのメーカー系企業にはもはやかつての派閥抗争は見る影もない。役人と代議士には国税が降ってくるけど、企業は自分で原資を生まなきゃいけないのでいつまでも無意味な談合抗争などしてはいられなかった。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34337
竹中 私は5年5カ月も大臣をやりました。ひとりの人間が国の中枢にいる期間としては、十分長いと思っています。

 政府の中にいたとき、怖いと思うことがありました。政府には権力があるということもそうですが、仕事をしているといろんな人と貸し借りができるのも怖かった。そういう貸し借りに縛られて、いざというときに本来やるべきことをできなくなったりするんです。

 だから、権力の中枢に同じ人が長くとどまるのは、よくありません。出ていく人をきちっと評価した上で、絶えず入れ替えるということこそが民主主義の活力源です。しかし、いま政界にいる人の多くは、しがらみでがんじがらめになっています。

川嶋 一方で大衆には媚びる。口を開けば、言語明瞭意味不明・・・。

竹中 全くです。その点、英国の政治家は良い言葉を残しています。

 サッチャーは「金持ちを貧乏人にしたところで貧乏人が金持ちになるわけではない」と言いました。格差をどうこう言っても仕方がないってことですね。貧困はなくさないといけませんが、成功した人を妬んだり嫉んだりというのはさもしい。


川嶋 橋下(徹)大阪市長が人気を集めているのも、小泉さんのような政治家が現れない閉塞状況と無縁ではないでしょう。

竹中 今のような状態で普通起きることは、軍事政権になるか、独裁者が現れるかです。


竹中 ひとつにはメディアがちゃんと勉強していません。先日もこの4年で歳出が15兆円増えたことを知ってるかと聞いたら、そうなんですか・・・ですよ。思考が停止しています。財務省の周到な根回しもある。みんな丸め込まれています。

 しかし国民には妙な直感があるんですよね。先日、税の問題を取り上げたNHKスペシャルに出たんですけど、視聴者が寄せた電話とファクス、1万1000本の99%が増税に反対だったというんです。


竹中 当たり前のことを当たり前にやればいいんです。小泉内閣が終わった2006年9月末、日本の株価は1万6000円でしたが、今はその半分です。

 この3年間、世界の株価はどう動いたかというと米国は39%の上昇、ドイツ、英国すら25%ほど上がりました。

 日本だけが異常なのは、異常なことをやっているからです。

 典型が雇用調整給付金。本来ならリストラして、別の成長産業に行ってもらうべき人を会社に抱え込ませたりしたら、経済全体が弱くなるに決まっています。

 モラトリアム法もそう。金融機関は中小企業が抱える借金の返済猶予にほとんど無条件で応じないといけません。今やそうしたケースが100万件も積み上がっていますから、不良債権予備軍は1.5倍になったと言われています。

 そして労働規制です。労働者派遣を禁じることで、雇用をしにくくしている。海外に出ていく企業が増えるのも当然でしょう。

 こういう日本経済を弱くする政策をやめて、強くすることをすればいい。具体的には法人税を下げる、規制緩和するといったことです。そういう普通のことをやれば日本はすぐに強くなります。技術があり資本があり人材もいるんですから。

川嶋 今の円高についてはどうご覧になっているのでしょう。

竹中 これは誤解されているんですけど、為替は米ドルとの関係だけでなく、ほかの通貨も考慮した実質実効為替レートで判断する必要があります。

 1995年に1ドル=79円をつけたことがありますが、これを今のレートに当てはめると55円くらいになる。当時と比べれば、今の水準はそれほど円高じゃないってことです。なのにそう感じるのは、産業の競争力が弱まったせいです。


竹中 そうですね。例えば13兆円の税収不足というのは、財務省が弾き出した数字です。

 注目すべきは名目成長率を1%として計算していること。今、米国も英国も財政再建のためのプランを立てていますが、前提としている名目成長率は米国が3.5%、英国は5.3%です。

 この数字が1%も違えば、将来の見込み税収は全く変わってきます。つまり、あえて1%に抑えたことには税収を低く見積もることで増税の必要性を印象づけようという狙いがある。

 だいたい民主党政権は一方で成長戦略というのを作っていて、そこでは名目3%以上を目指すと言っているんですけどね。

 いずれにしてもシナリオは全部、財務官僚が書いていると思われます。普通の経済学の常識を持っている人なら、めちゃくちゃだと分かります。

財務省国益より省益優先?

川嶋 財務官僚だって日本人です。日本経済を立て直さないと彼らも困るはずなのに。

竹中 日本のことを考える以上に、自分たちの影響力を最大化することを重視するのが官僚というものです。

 彼らの一番の望みは、大きな財布を作ってそれをいっぱいにすること。財布が大きければ使えるお金が増え、大きな影響力を行使できます。財布が大きくても赤字では困るので、増税に熱心なわけです。