先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

ホンダ フュージョン前期、あるいはCB1300ボルドールを、ハンドルミラーにする意味


初期型を、ハンドルミラーにする…
右だけでいいので、ハンドルとカウルと両方にほしい。
カウル側は広範囲視界だが振動がすごい。可視的に、明白に、ハンドルのほうが振幅は小さく制振されてる。


初期型の樹脂のハンドルバーカバーって、防水防塵性は適当…直接かかるのは防止するので、樹脂や塗装の劣化の点で、ないよりかなりましだけど。ミラーが付く部分は削ればいい。
最終型06年式Xと見比べると、右側はマスターシリンダーブロックの受け側のステーだけが変更され、ミラーマウンターになっている。
マスター側を部品変更すると開発費が高いのでそうしなかったようだ。むしろこれにより全モデル共通化され低コストに。
POSHも鏡面仕上げでアダプターを発売してるが、やはり右側は「受け側のステー」だけだ。
最終型Xだけの新パーツなので、まだまだ安い。840円ほど。


なぜ、フュージョンのカウルミラーはあんなに揺れるのか。車両開発や生産ラインの科学技術的な発想で紐解く。
(当方は、本田はじめ国内各社の新車設計コンセプトを幾つか手がけ、採用され、ヒットもこなしてきている身分である…あなたがたが載ってる車種もあるいは…)


揺れというのは、煙がばらまかれる原理に近い。遠くにいくほど揺れ幅が大きくなる。煙は遠距離へ行くほど塵芥の飛散面積が増える。
これは末端へ行くほど細くなるほど顕著になる。台風…樹の幹はあまり揺れないが枝葉は暴れまくる。
基本的に、受動的に連動で揺れる側は、制振するか、呼応して揺れてしまうか、だ。幹や根っこの部分がダメでぐらつけば、それより末端側は否応なく揺れてしまう。


スーパーバイクや中型レプリカというのは、エンジンマウントがフレームで、ブッシュやカラーを挟んでいたり、
フレームからぶっといステーを伸ばしてすぐミラーがマウントされるので、比較的揺れにくい。
たいていはマルチなので振動が大きくなりにくいのもある。


フュージョンはシングルだ。SRみたいなもんで、ましてリアスイングアームそのものがエンジンなので、揺れやすく、振幅も大きく、応力も大きい。フレームマウントと違い、フレームからある程度浮かせる構造も採用できない。
なので、まるでレーサーみたいなダイレクトな振動が常にある。回転数に応じて車体各部の共振が増えたり減ったりする。


しかもフュージョンは縦置きシリンダーなので縦振動がすごい。
NSRがなぜ90度バンクかって、一次振動をなくすためだった。最近も位相クランクで同じ効果をもたせている。
そのぐらいメーカーが振動を消す努力はすさまじい。
結局、1シリンダーのスクーターから見た目の振動を減らすには、横置きのボクサーみたいなレイアウトしかなかった。
ディオがライブから、リードも100からはこれになった。フュージョンの後輩は2型のフリーウェイから。
上へ突き上げてこないので打ち消し効果が高い。バイクのフレームは概ね横に寝ているので横方向の振動には制振性が強い。
要はトランポリンやハンモックで、縦に飛ぶほうがよく飛べて、横に飛ぼうとしてもうまくいかない道理に近い。
さらに横置きシリンダーはかさばるためエンジンハンガーより前に行ってしまうので、反対側にあるスイングアーム側に振動が来にくい道理となる。
NSRやCBRやR1で200や250出してミラーを見たところで、揺れが気になった記憶はないよ。


さらに悪い事に、フュージョンはその見た目の外装を実現するため、やたら前カウルステーが大柄だ。
鉄材でも軽くするためにはどうしても細くなり、すると制振性が落ちて、むしろ連動振動性(うまい専門用語がない)が高まる。
レプリカみたいに、フレームにちょこっとついてるだけのコンパクトなステーとは違うのだ。



実際の振動はどうなるか…見物していると、明白にハンドルの倍以上の振幅で揺れている。
まずカウルステーが振幅を増幅し(鉄材が細いのでむしろバネになり、振幅を増やす)
なぜか鉄板をプレス成形しただけのミラーアームが、さらに振幅を増幅している。縦方向に板になってるので、横へ向かってバネとなり大いに揺れているのだ。


「80年代の設計だなぁ…本田宗一郎おやっさんも苦笑いしたかもなぁ…」
なんて見抜きながら苦笑。
そもそもメガヒットする気のない、試作バイクだったからな…まだバブル突入前の時代の。円高不況の真っ最中。
エンジンはスペイシーの流用で、ゴテゴテとやっすい部品つけてみただけの。しばらくはあんまり売れてなかったしな、話題性はあったけど。ブームといえるほど誰もが乗りたがったのは90年代後半のビグスクブームから。
それまでは「バイクとはスポーツモデルである、あるいはネイキッドである」固定観念が強くて、スクーター乗る奴は馬鹿とまで言われた。スカチューンが終わるまでビグスクはゴミ、あるいはいまの大型乗りのように「おっさんが乗る便利ツール」。


…とにかくそういうわけで、欠陥設計スレスレなので、現代においては使い物にならんミラーである。
純正ミラーの強度設計はリード90と同等…お察しあれ。


振動対策は、本エントリーでも書いたがhttp://d.hatena.ne.jp/geasszero/20150813
・純正マフラーを使う:社外の軽量マフラーは薄く、揺れて当然で、防振強度がない…・重量があるものをきちんと固定すると防振効果があるので純正のほうが強み=よく純正マフラーのボルトが緩みっぱなしで走行し続けエキパイが折れるトラブルが発生している
・ジョイントガスケットは頻繁にチェックし交換する:そんな高くないんだからタイヤ交換ごとでも(2回に一回にしても、スペア常備するぐらいでいい)
・純正マフラーの取り付けボルトをチェック:ゆるみ、なめ、は致命的。
・変速装置…プライマリとセカンダリのOH:セカンダリのベアリングまでイカれてなければ、通常の部品交換OHでもかなり改善
・カウルマウントに、エラストマーゴムを挟む:リアアンダーカウルには効果的で、亀裂進行も防げる
これで全体的な振動が減らせるが、
カウルステーの振動は打ち消しようがない。設計そのものだからだ。ミラーをハンドル側に退避させるしかない。CB1300みたいなもんで…


なんでCB1300もカウルステーだと揺れちゃうかって言うと、
・レプリカのような、ツインスパー目の字断面のアルミフレームではない(モデルによってはステム部は鋳造にして硬度を上げている)
・つまりダブルクレードルの鉄フレームは、耐衝撃性は良くて吸収力があるが、エンジン振動はむしろ揺れやすさによって増幅させる
・そのような軟弱なフレームにマウントされた前カウルステーも、呼応して揺れてしまう
・というかダブルクレードルってアンダーフレームも溶接一体化してんだよね…ウヒャ


いわば鉄フレームモデルの持病とも言える。アルミフレームでも安っぽいつくりでは起きるけれど。
1300ccってと、325ccのシリンダーだからね、フュージョン以上だからね。
レーシングエンジンはボアを広くしてストロークを減らすけど、CBはむしろ高くしてかっこよくして扱いやすいエンジン特性ってやつなので…


だから、ザンザスみたいな味も素っ気もないフレームにすれば(注:SP400で勝てたモデル…ところでゼルビス荒らしさん元気してるかなぁ…)
CB1300も揺れなくはなりますよー誰かオリジナルでフレーム作れw
でもそうするとCB1000RRベースで1300にスープアップしたエンジンにしたくなるけどね。ウヒヒヒヒ…https://goo.gl/5mBPhF
誰が買うんだそんなモデル。


レーサーってさ、省けるものは省く分、ものすごい振動なんだよ。だからこそ剛性設計=振動対策をしっかりやって、パーツと乗員双方への負担軽減をしないと、パーツも壊れ、乗員は疲れ、レースで勝てない要因となる。アルミ目の字断面スパーフレームってそういうこと。なんせイヤーウイスパーしないとレースに参戦できない=マシンに乗れない世界なのでね。


ハンドルが揺れにくいのは、縦方向(前方へ傾いた縦振動)に伝播してきた振動が、
いちどハンドルマウントによって方向が変わり、変換されてしまうのも大きい。消波堤みたいなもん。
トップブリッジもハンドルもテレスコピックチューブも、カウルステーよりごつくて高剛性なので、たやすく振動を伝えてはくれない。
おまけにステムを経由した減衰された振動だ。


…そういうわけで、案の定、1300ボルドールでも、わざわざハンドルミラーにして振動対策してる人が結構いるようで。


実際、XJR1300とかCB1300とか乗ってみりゃわかるけど
足元で太鼓の達人が一生懸命演奏してるからね…あの鼓動でハンドルですらワンワンしているから。


ヤマハマグザムは横置きでDOHCなのでフュージョンと比べたら格段に振動が目立たないと言われる。(SOHCのグラマジェよりはマシだそうだ)
けどCB1300DOHCなので、レイアウト設計などいろいろ絡んで総合的に、実際の振動が実現するということになる。
なんせスクーター的にいえばCB1300も縦置きなので一次振動が体感的にも実際にも激しくなる。
かといってジェネシスエンジンのようにあまり寝かすとフォークは遠くなるし重量マスは分散するしでなかなかうまくゆかない。
R1以降は極端にタンク方向へシリンダーとギアボックスを押し上げオイルパンだけ置き去りにした、ペシャンコレベルまで重量マスを集中させた、新発想の設計だからね…少々シリンダーを傾けても前後は短いしスキマが皆無で、ジェネシスとは別物。実は前から見るとR1とFZR250Rと見た目の大きさは大差ない…フェアリングを含めGPマシン的にギュウギュウ詰め込んだ結果だ。




フュージョンX最終型純正のハンドルミラーより1cmほどロングのメーカー同じのやつをつけてみた。
逆ネジに変換マウンターつけてあるのでマジェあたりの純正か。
ハンドルカウルからミラーが出てくる部分は削って対処。


揺れる…結局は揺れる。
ミラー本体が軽い樹脂の純正採用ミラーなので余計にミラー本体だけ揺れるのか…ミラー本体に鉛などを貼り付けて制振する手口は有名。


ただ、やはり位置も形状も違うので、振動するタイミングや特性はぜんぜん違う。
ハンドルマウントだと近いので後方車両が大きくはっきり見えるメリットも有る。


純正カウルミラーは、取付ステーが細く弱くしかもカーブしているので、アイドリングでもステーとミラーがゆっさゆっさ揺れている。
ほぼ純正のハンドルミラーにその現象はない。
前者は加速中に揺れるが
後者は加速中はむしろ振動が減る。
時速なんkmで最も揺れるかの固有振動も異なる。


どうも、ミラーが横に長いほどエンジンからの突き上げで動揺して揺れるようなので
長さ調節式ミラーで、バーが途中で曲がらずまっすぐしてるモデルのをなるべく短く取り付け、ミラー本体も縦に向きを変えると、振動激減するような気もする。振動してるミラーを観察すると、根元はほとんど揺れてないんだよね。どうしても末端にいけばいくほど1次関数で振幅が増えてく。


鉄フレームと同じ要領で、サブフレームをミラーにつけても振幅を抑えることは可能。サブフレームをハンドルから伸ばしてミラー本体へボルトオンする。ただぶつけたり転倒する時は危ない…どうやって安全に外れるように設計するか。


または、カウンターウェイトをミラーの反対側へ取り付ける。ボールペンの端っこを持って振ると簡単に大きく振れるが、ボールペンの真ん中を持つとうまく振れなくなる。この原理でミラーのバーを中心としてミラー本体の反対側に、ミラー本体と接続されたおもりをつける。


なんにせよ第一義は「メーカーがエンジンの振動を相殺して減らすこと」なので、振動が出てからできる対処法はどれも付け焼き刃にすぎない。ヘルメットマウントミラーのほうがマシだ。
…ただ、R1やXJR1300は、とにかく頭もよく揺れる。加速すると目が揺れているのでミラーの揺れに加えて景色が歪む。こうなるとヘルメットマウントミラーでも意味が無い。



違うミラーも入れてみた。
よくあるミラー取り付け位置伸縮可能の。


一番短縮した位置では、さすがに振幅は短距離になるものの、
やはりエンジンの一次縦振動なので強烈で、カウルマウントの純正ミラーと大差ない。


純正ミラーはステーも脆弱なので、こんにゃくみたいにワイドにぶるんぶるん震える。
大きく手ブレしたデジカメ撮影画像みたいに見える。手ブレ補正機能なしの。


ハンドルマウントの今回のミラーは、微振動が強烈な映像に見える。


それぞれが異なるタイミングで大きく揺れるのは先に書いたとおり。速度も異なるし、加速時はハンドル側がよく揺れ、減速時は純正が揺れる。


そ こ で
秘密兵器


自転車用に最近売りだされた「リストバンドミラー」。
http://blog.worldcycle.co.jp/20140128/8893/


これは、揺れない。人体がかなり吸収する。


ただしキャプトンのSR400にセパハンぐらいだと厳しいかもしれない…グリップですらガンガン揺れてるようだと手首もガンガン揺れているので。
250シングルスクーター、フュージョンぐらいの振動なら、手首への取り付け方次第でほぼ揺れなかった。
ただバックミラーより小さいので映る映像も小さい。映像が小さくて後続車の判別に手間取ることはあるだろう。


なによりこれは自転車にも使えるというか自転車用だ。


ただし、この製品はバンドがワイドすぎて、冬服のもこもこしたジャケット、雨具には、いまいち相性が悪い。
実はもう一つの製品…これは細いのであまり干渉しない。
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20120412/1334228686
ただしあまり売れず、固定もすぐ緩み、決め位置になったミラーもすぐズレる…
もう自転車用品店では見かけず、なぜかライコランドにあったりと。


腕時計のバンドとロードバイク用のバックミラーと組み合わせて自作するのも手かと。


自転車だとヘルメットマウントミラーがメジャーだけど
オートバイでは流石に危険なので…却下。


2015/12/05
結局「ミラー3つ」


カウルミラーと、ハンドルミラーは、それぞれ振幅と、エンジン回転いくつで振動するかが、違う。
後者はスロットルオフにすると揺れなくなる。高さ可変ミラーを最低の高さにしてポストが短くなってるので振幅も小さい。
リストバンドミラーは、エンジン振動影響を受けずほとんどゆれず、自転車用の流用なので軽いが、写る画像が小さく後続車との距離がわからないため「後続車の車種判別専用」、


つまり3つそれぞれのミラーに得意分野があるのでどれもはずせない。3つ必要ということになる。


自転車用で「豪州リアビズ社のリストミラー」が売られているがとっても高い。
4千円もするが、大した設計ではない。


なので技術者である自分は自作で済ませた。なんせドクター中松なんか鼻で笑っちゃうほどの発明家であるから。


秋葉原の店でネット通販もやってる「サンコーレアモノショップ」で『カメラウェアラブルバンド』1330円をゲット。本店で即買。http://thanko.jp/shopdetail/000000002448/
ワイズロード赤坂店はアウトレット品の掘り出し物が結構あるが、GIZAの大きなハンドルマウントミラーが600円だったのでゲット。大きい奴は不人気ですぐ安くなる。
このふたつを合体させ、使いやすいウェアラブルミラーが完成した。カインズホームで長い六角ボルトを買ってきてつけるだけ。M4の20mmだったかな。
ホンダのフュージョンであちこち移動して使ってみたが上々。エンジン振動の影響をほぼ受けないのでSR400やCB1300にも重宝できそう。
スロットルひねる、楽な姿勢を取る…手首の動きでミラーの見え方が変わるんで、どう動いても見たい方向が見えるように調整しておく。大きめミラーなら夜でも白バイやパトカーが識別できる。