先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

製造業も金属加工業もやったことない人が、自転車のハブの材質を語ってるのに違和感


たとえば、デュラエースのボールはステンレスで、カップとコーンもステンだという。
「デュラならステン同士だからいいが、下位グレードにボールだけ流用してもクロムよりステンのほうが硬いから云々」


おいおい…


「ステンは粘る」んだよ。27%ほどがニッケルとクロームモリブデンだからね。
砥石工作機で研削しようとすると粘って反って逃げて、話にならん。油かけながらフライスでやろうってなる。近年だとCNCで、「いやプリンターだ」て感じ。


そしてステンレスは焼かない。だから焼くための特別の品種すらある。
シマノがデュラで採用してるのもSUS440Cだから炭素多めの焼入れ後のステンレス部品だ。基本的に焼入れ後は硬すぎていかなる加工機でも加工できない。


SUS304なんか全然硬さはないぞ。サビに強い代わりにね。
http://smtbearing.com/sus304.html
おなじステンレスでもSUS440Cになると今度はSUJ2つまり低グレードハブに使われるクロム鋼なみに硬いし、焼入れできるけど錆びやすくなる。炭素は役立ちもして悪さもするんだ。
http://www.nc-net.com/knowledge/morilog/detail/3774


お前が言うクローム鋼を削るほどのステンレスってのはどこのどういう品番のステンレスなんだよと問いたい。
どうせ純クロームの柔らかさとか想像して妄言してるんだどうけどさ。


そんなステンレスボールごときに削られるUSJ2のカップコーンというのはさ(どこのユニバーサル・スタジオ・ジャパンだ)
実際に5千kmほど走行してからその摩耗面を見せながら言えよって話。スクーターのプーリー&ベルトみたいにさ。
それでもその画像が示す情報がお粗末すぎて、町工場の連中に馬鹿にされるかもしれないけど。


SUJ2って炭素1%の高炭素鋼だから錆びたがる。そして95%以上が鉄だから硬いけど割れる。


自分もそんなに、長年、鉄とステンレスだけを相手に今も従業しているベテランほど詳しくはないけどさ。未知の部分もまだまだあるけど。


http://ashitaka-giken.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-a2c4.html?cid=111261737#comment-111261737
うーん

ただの湿気でも次第に錆びるからね
グリスは湿気を招くし
鉄球は冷えたり温まって結露を呼ぶ

年間戦うデュラエーサーたちにとっては
たとえウェットレースで水滴が入ったのを拭きとっても、あるいは今季は運良くウェットレースがなくても
湿気の保持が続いてうっすら錆びるだけでも色々とデメリットが有るんじゃないかなあ。

あとステンは合金のお陰で粘る。つまり摩耗しにくい。プリンみたいなもん。
18%がニッケル、8%がクロム。

これがSUJ2になるとほとんど鉄。鉄はカタブツ親父で融通が効かないので割れる。削る。
最大配合率のクロムですら1%しか入ってない、だからクロガネの名の通り黒いでしょ。

棒ヤスリがいい例で、鋳物の鉄だからまったく動じないけど、隙間にハメてレバレッジに使おうとするとすぐ割れる(折れる)。この性質がSUJにもあるのでボールがよく割れる。
鍛造しようったって鉄だけじゃこれを克服できない…炭素を増やすだけでなくダマスカス的な工夫があって成り立つ。

つまり7800がリアハブも小さい3/16インチのボールなのはステンだからです。粘るから割れを心配せず小さくできる=転がりが軽いし傷がつきにくい。あれSUJでやるとライフサイクル定めてもその範囲内でも割れる。
逆に言えば105で感じるのっぺりした重さはひとえにSUJで1/4インチのボールという重さに尽きるでしょう。CBRの軽いヒュンヒュンクランクとCBの重いドコドコクランクの違いのような…

なので1/4規格のハブでステンを試すメリットはおそらく、ボールの割れとサビの防止ぐらいしかないのでは。SUJより少し重いし。粘るし割れないし錆びないからカップコーンへ傷をつける確率も下がりそう。錆の粉や塊だけでも周囲へ傷をつけるクレンザーですからね。

精度がどうとか言いたければもう、安いハブのカップコーンを旋盤に取り付けて1μmレンジできれーいに削りこんでバフがけするしかないよ。そして鏡面仕上げ上級品質のSUSボールをあてがう。


ボールベアリングは爺さんが最強
http://www.satotekkou.co.jp/technical/steel-jis


いくらデュラエースの純正ボールでもさすがにG3はなくてせいぜい二桁だろうという話。
http://s2000.blog.shinobi.jp/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E3%81%AE%E3%83%99%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E8%A9%B1


手動式の研削盤とかで、じっさいに1μmづつ追い込んで交差0.5μmの部品を作ってみればわかるけど
「意味ねーから、自転車に、G5とか」


あんなもの、1マイクロメートル自分で削ったことのない(感覚がわからない)阿呆がなんか言ってるんです、
いわばいない神を信仰するまさに信仰なの。


棒ヤスリでもなんとか20マイクロメートル単位で削ることができなくはない。
あんた20マイクロメートルってどういう手感か知ってるの?ホコリですよホコリ。スギ花粉のサイズだよ。片栗粉。


いっくらボールだけそんな10マイクロメートルレンジで精度を出したって
カップコーンも出さなきゃ意味が無い。
やってる?
やってるわけねえよな…高精度旋盤で追い込み加工して鏡面仕上げしないとムリだし。


旋盤に、ハブボディを芯をきっちり出して固定して、削る部分に赤マジックを塗ってさ
回転させて削ると最初は凸凹に削れるから赤がてんてんと残る
次第に高精度表面仕上げになっていくと、塗った赤がむらなく消えるようになる。
表面仕上げがそのぐらいになったらあとはバフがけだ。んでダイヤルゲージで目に見えない凹凸を計測しながら最終的な判断をする。


もうあれだよ、そんなG3だのG5だのという妄想は捨ててさ


池田さんや大川さんが奇跡の技でおつくりになった偉大なる神のG3ボールにお布施するとかどうでもいいからさ百万円のツボじゃあるまいし。


まずはあれをやりなさい。そう「マイクロロン コーティング」
NSR250RのSPレーサーが、普通だったらとっくに焼きついてるはずなのに
ピストン崩れかけていたけどゴールまでエンジン回ってたというあれだよ。


そっちが先。
寸法で、一桁マイクロメーター精度のボールを買おうなんて「無知の極み」


フリクションを減らしたいんだろ、だったらマイクロロンだろ。
その意味ではセラミックボールの作用に体感で気づいた人は、わかっているほう。まぁ体感でわかっても技術体験は無知のままだけど。


ま、マイクロロンは使い方が特殊だから、理解してないとこうなるけど。
http://blog.goo.ne.jp/kino55crazy55/e/acc3432887447140be6a74ec58003a8b
あくまでコーティング剤であり、期間限定だから。
シリンダピストンコンロッドの場合は、効き目が長持ちするように焼成処理する。するとNSR250Rが焼き付きながらも走り続けてゴールする。ニカジルメッキのさらに上塗り。


テフロンやシリコンのコーティング剤ってのはどれも似たような作用。
卵をテフロンコーティングしたフライパンで焼いても焼きつかないで、ツルツルすべるでしょって話。
最近はセラミックフライパンという強者が出ているけど。


G3ボールとかどうでもいいから
まめにクレのドライファストルブをカップコーンへ向かってシュッシュしなさいよと。むろん鏡面仕上して頻繁にメンテしてる状態でね。ライフサイクル管理必須。


何を使うにせよ、いずれ切らす。
だからライフサイクル管理が欠かせない。自分で走行しながら「効き目が切れる頃合い」を調べてノートに記録し続け、サイクルを決めるしかない。
ドライファストルブとシリコンスプレーがあれば、ディスクブレーキのシールは劣化せず、ピストンの戻りが悪くなることがない。
うちのホンダのリード90はもう8万kmだけど、これらのおかげでキャリパー部分にまったく不具合がない。


自転車のハブって、構造上、すごくアンアンギシギシしまくってます。
速い乗り手がガンガン飛ばすガンガン踏むほどその幅が大きくなる。上下左右三次元全ての方向へ応力が逃げることをやめない。上上下下右左右左BA…
ボールがカップコーンという世間の荒波にもまれまくっているんだ。
その幅なんてマイクロメートルじゃないよ。コンマミリメートルなんだよ。デュラですら。
そういう原始的でシンプルな構造物なのに
G3のボールとか馬鹿じゃないのか…
(リアハブも9000みたいに新規構造になりボールリテーナになりQRレバープレス影響を排除し…ってだんだんハイテク化してくるとまた状況が変わるけど)
振幅が大きいからこそ、踏むだけでもカップに打痕ができる。路面のギャップを拾えば高確率で打痕になる。振幅がなかったら打痕の凹みになりようがない。


二輪車レーサーモデルのベアリングもピストンシリンダーもギチギチに硬い。あれはエンジンが動くことで200℃近くの熱源で熱膨張し、クリアランスが開くことを織り込んでるからだ。
しかし自転車はそこまで熱源がないので、予備的にクリアランスをゆるゆるにしとくしかないから、そりゃ振幅は大きくなるしかない。
選手権レベルの自転車ロードレース大会で、入賞するような人はまず、純正=購入時状態よりも球当たり調整をゆるめ側にはしても、きつめる側にはしないでしょと。


1マイクロメートルづつ削れる研削盤を、どう運用すると思ってる…
朝はいじれないんだ。電源入れたらほっとくしかない。可動部の潤滑油の厚みでもう変わっちゃうから。機械構成材の金属の温度変化でも変わっちゃうから。
鉄合金を削るときも、下手にゆっくりやると加熱して膨張するので、ぴったり削ったつもりでもマイナスになっちゃう。砥石の研ぎ方が悪くても摩擦熱が増える。研ぎ方が尖すぎると今度は削ってる仕掛品が傷だらけになる。マイナスにならない、傷の付かない、削り方を何ヶ月もかけて覚えこむ。(要領の悪い人は何年かけても覚えられない)


G3の精度ってそういうもの。よほどマイクロな加工とか(理由は前述)、よほど高回転な機械とかに使うの(精度が悪ければ悪いほどブレるからね)。
あんあんギシギシに使うようなもんじゃないの。


まさにベッドインエッチと共通。あのピストン運動はRPMにすれば大したもんじゃない低回転だし、
しかし動きは一定ではない非常に乱雑なもので
つまり潤滑剤をきちんと充実させて滑りを良くしないと各部品にダメージが来てしまうし、なにより期待した性能が出せない。
そこで必要なのは滑りのよさであって、過度の寸法精度じゃないよって話。低回転動作だからピストンの大きさはかなり幅があってもちゃんと動作してるでしょ(してるよね、ね?By銀時)
セラミックボールに感じる回転の伸びの良さは、ひとえにハブ内部の潜在的な各フリクションを打ち消す効果の高さから。爺さんだとか婆さんだとかいう以前の素工学的な話。
さらに選手権レベルではグリス半分オイル半分のビチャビチャ潤滑油で滑りを良くする。デュラグリス系はとにかく硬すぎる。
エコランに至ってはグリスなし!




エンジンでも自転車ハブでも
回転系統の、接触する部品同士の負ける勝つの関係、材質による反応の違いなど…
こればかりはモーターレースおよび金属精密加工業でしか修行できないよ。
自転車スポーツ業界は自転車しかやったことがない人が多いから(閉じコン)、自動車産業的な技術知識のない無知の人が多い。


だから根性論という信仰や迷信、コンパクトクランクは邪道みたいな風説が蔓延する…


馬鹿な信仰や迷信や根性論や体育会系はそろそろ下火にして
ちゃんと「科学技術」で速くなってちょうだいよ。


そういうわけでパールイズミの「腹冷え防止エプロン」も私が提案しましたんで活用してください。
冷たいドリンクやアイスばかり食べても、これ装着してればトイレに駆け込まなくて済む。アイスの場合は食べたあとしばらく素手で腹に直接触れて温めるとなおよい。腹の表面に冷たい部分があると確実に下痢につながる。


 ◆



結局、一流の製造業がちゃんとやるとこうなる。


近藤のGOKISO。
ただしやたら高額。一流の自動車や航空機の技術だから仕方ない。普及品むけの生産技術じゃないから。


逆にいえば、シマノの売りは普及品価格なので…10万円しないハブでも世界選手権で勝てるってわけで。
GOKISOの真似をする意味は無い。マクドナルドとモスだ。


まぁGOKISOも今の10倍の数が売れたら価格は半分以下になりそうだけどね。いわばフェラーリ効果。

http://www.nhk.or.jp/charida/legend/legend_01.html
なぜあえて重いハブを作ったのか?
近藤社長
「軽さは確かに大切ですが、軽量化ばかりに走るとベアリングが本来の動きをしなくなるんです」
近藤は走行中にハブに加わる衝撃が摩擦を生み、回転を妨げていることに着目した。

近藤が加工する航空機のタービンの軸受けはバードストライクなどいかなる衝撃も吸収するよう設計されている。
この衝撃吸収構造を自転車のハブに応用した。

ベアリングをカバーする独自の衝撃吸収システムが走行中の振動を劇的に軽くしてくれる。


http://www.gokiso.jp/ja/products/hub2.html
http://www.gokiso.jp/ja/pricelist.html
http://blog.goo.ne.jp/masashi_mh/e/2b2347f60a2464554185823ecefbc2a0

ロードバイクはリジッドなので絶えずゴトゴトいいながらベアリングを叩きつけて回転抵抗を増やし続ける。シマノなどがこれ。
GOKISOハブはベアリング軸とスポークハブを分離させつつ、しならせるため、ベアリングまで衝撃は来ない。しかし構造上チタンを使っても重くはなる。
なのでGOKISOハブは、重量による慣性力と、まったく邪魔されないベアリング回転により、よそのチームよりスピードが伸びてしまう。