かつては文芸的とか、ラノベじゃない大河小説とか、科学オタク的とか…
いわば日本版ハリウッドともいうべき幅広くインテリな客層があったけど…
彼らは加齢とともにアニメを卒業し
いまは学生や新社会人たちが
帰宅後に麻薬の代わりにアニメの萌えやギャグに癒やされるための、そういうツールになってしまったから。
学生は小遣い、社会人は大人買い予算。円盤やグッズを買い漁りイベントへ出かける。
ガンダムもそうだからいまやUCやBFじゃないとヒットしない。トミノを始め旧来のそうそうたるキースタッフの誰もヒットできない。
佐藤竜雄、佐藤順一、渡辺信一郎、幾原邦彦ら…
いずれも鳴かず飛ばず。すっかりニーズからズレてしまっている。
庵野秀明はエヴァじたいにまだニーズがあるからなんとかなっているけど。
トミノもトミノ信者とトミノガンダム信者がいるのでディスクセールスでの大失敗はないが大ヒットもないし玩具アニメは任せられない（監督自身が嫌いだからだ…おなじ性格でロボアニメ興味ないとかいう人もいるので弟子にしたらどうかhttp://d.hatena.ne.jp/geasszero/20140930/1411993833）。
いわば時代はもうミニバンでしかも軽乗用なのに
いまだにカローラ系のセダンや売れないレースカーばかりつくろうとしているような。
２０００年頃は「どのメーカーもすっかりミニバン屋に成り下がった」と揶揄されていたが
そうならないとメーカーが存続できなかった。
ミニバンもビッグスクーターも便利ツール。
萌え＆ギャグアニメも便利ツール。
開発者の主張や思想はいらない。
漫画家やキャラクターデザイナーも、絵柄をトレンドへ合わせる方に走って
居残りや再起に成功している人がいるのと、構造的には同じ。
作家志望者が逃げこんできた時代のアニメ制作業界はもうない。
そういうひとたちからするとつまらないポル産、ほんとうにただの庶民娯楽業界になった。翻せば純粋なエンタメはつくりやすいのかもしれないが…
あと一点、
いまは冷戦時代と異なり、庶民若年層に政治はすっかりなくなっているので
いくら高齢化した連中が右傾化や左傾化をしてるつもりで右傾アニメや左傾アニメを乱造しても
ほとんどが売れなくて終わる。
サトジュンもサトタツもその
「右傾化バブルだからどんどんつくれ、とっととスタッフ集めて来い」みたいないいかげんなトレンドに乗じたアニメを作って
余計に失敗に見舞われている。
作家として枯れてしまった部分と
もとより売れ要素ではない軍隊・政府ものと
ダブルパンチでの爆死。
イクニも五十嵐も榎戸も、我が道突っ走るが売れない…昨今ではキャプテンアース、その前がタクト。ピンドラも売れたとまでは…
売らないと元手が生まれないことを無視し
自分がやりたいように予算浪費して作って爆死して東映を追放された高寺某…
あれは極端だけど、基本はあれのはずだ。
少子高齢化や
デフレ脱却とか言う爆死政策と増税がほろぼそうとしてるデフレ経済や
とにかく、あまかあねえ現状と今後である。苦しんでるのはもうアニメ業界だけじゃない…そうひとりでもう悩まなくていいんだよ一緒に苦しもうアニメ業界…非正規で雇用じゃないのはもうアニメーターだけじゃないんだし…
残響のテロル
ノイタミナであるのが逆効果…「他と違うアニメ、リアリティあふれるアニメ」に偏りすぎている。
ただギアスをリアル東京へ持ってきてダウンサイジングってだけじゃインパクトも薄れてるし…
都庁破壊してもドラマとしては小さいというか…インパクトはない。
リアル志向だと都庁程度に落ち着きがちだけど、ドラマとしてはF22強奪してミサイルでスカイツリーとレインボーブリッジ倒壊させ、都心各キーステーション周辺が火の海ぐらいでないと派手さがない。
そこへ渡辺信一郎の古くなったセンスが追い打ち。
人間、20歳離れた世代とは共感が難しくなるというが…
さらにはリアルすぎて漂う「左翼左翼しさ」
ライドバックを彷彿とさせる…あまりリアル左翼ものすぎると、左翼の破壊願望と一般人が見たいスペクタクルと乖離して売れなくなる。
渡辺信一郎の監督スキルとしては…
９０年代はビバップぐらいのアニメはまだまだ貴重だったが
今やそのぐらいありふれてしまった。５年前よりさらに。
すると、ただ絵が綺麗、設定が複雑多岐、
というだけの渡辺作風は「ありふれてる」しかも地味ですらある…すこし昔のアニメを見ると感じる地味加減だ。
結局、ウロブチがらみのサイコパスに売上で及ばない理由へ直結する。右翼左翼どっちが題材かはあんまり関係ない。
型にはまり、極めていって、
それが稼がせてくれる時代もあれば
逆に仇となる時代もある。
