先従隗始・温故知新

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なぜ日本で原発事故は起きたか、なぜ日本の政治行政は改革されないか


知らないから。知ろうとしないから。
知らないと、改革改善修理しなくていいものと思い込む。自分では自分のマイカーについて、なにもわかっちゃあいないから。


今の官僚政治や政党政治はもう明治時代のものだし、ろくに改善改修もされず使い回しだ。
孫のまた孫の世代が引き継いでいれば、どういうシステムなのか、どこを改修すべきか、わかるはずがない。
現に福島原発にしても、細部まで全体をちゃんとわかってるエンジニアなどもはやいない。古い図面はかすれて読めなかったり、読めなくても理解できるじいさんはもういなかったりと。


年月が経過すると『神格化』の病が悪化する。王族が不可侵の聖域扱いされるのとメカニズムは同じ。大日本の輝かしい国政制度だとか、オカミに意見をするなどもってのほかとか、ひいじいさんも大臣であった世襲の新人議員や新人官僚だとか、ため息が出るような連中の、中身のうつろな高威張りばかりが横行している。


老朽化日本は空中分解をすでに初めて久しい。孫やひ孫には荷が重すぎてもはや手に負えない。


よくレトロメカを修理して長く使うマニアがいるが、「いざというとき」の『覚悟』のうえで、私生活の自己責任の範囲で行っている。
国政だの原発だのと言う公共性の、しゃれにならん規模の、システム・メカニズムまで「万一事故ったらしゃれにならん」ことを前提で、ビンテージをレストアして楽しむようなノリで、よいのだろうかね?


40年限界説。ジャンボジェット20年、スペースシャトル5年、原発30~40年。30年超だと3世代が異動するので、『情報引き継ぎの限界』が来る。全く知らないものを触る世代が、現場の大多数を占めるようになる。


システムエンジニアコンサルタントの経験が無いと、わからないことがある。システムがわからないと、わかりようのないことが。彼らはシステムやルールを理解できる職業なので、国家システムや原発システムについても要件を見いだし、意見が出来る。

◆『システム障害はなぜ二度起きたか、みずほ12年の教訓』を読み解く



情報システムは、社会の基盤になくてはならないものだ。
ビジネス活動、政治運営、インテリジェンス活動に不可欠なものだ。
そのようなわかりにくい「システム」について、文系の人にもわかりやすく、考えていきたい。


※要旨


・本書の狙いは、みずほ銀行が2011年3月に引き起こした情報システム障害の真因を探り、大規模障害をこれ以上繰りかえさないための教訓を引き出すことにある。



・本書でいう「情報システム」とは、コンピュータと通信ネットワークを使って、企業や団体が業務を推進するために必要な情報を収集したり、加工・蓄積したりする仕組みを指す。



みずほ銀行が大規模なシステム障害を発生したのは2002年に続き2度目だ。
なぜ失敗は繰りかえされるのか。
その理由はただ一つ。
根本的な原因を究明し、対策を取っていないからだ。

根本的な原因とは何か。
それは、みずほ銀行みずほフィナンシャルグループの歴代経営陣のIT軽視、あるいはITへの理解不足だ。
技術の詳細についてわかっていないということではない。
経営陣として、自社の情報システムとそれを支えるシステム部門の強みや弱味、課題などを把握していない、知ろうとしていないのである。



メガバンクの勘定系システムとなれば、全面刷新するのに2000億から3000億円はかかる。


・もっとも、みずほグループの経営陣は、「銀行にとって情報システムは重要なものである」と、頭ではわかっていたはずだ。
ただ、情報システムを重視するとは、具体的にどうすることなのかが分かっていなかった。



三菱東京UFJ銀行は、頭取候補にCIO(最高情報責任者)として実際に大規模システムプロジェクトを指揮させている。

たとえば、三菱東京UFJ銀行の畔柳信雄会長は頭取就任前の1990年代、常務取締役として旧三菱銀行と旧東京銀行との合併に伴うシステム統合プロジェクトの陣頭指揮を執った。
畔柳会長は、
「経営トップができる限り情報システムに詳しくなっておくことが、我々の組織にとって100年の計になる」
と述べている。

この伝統が、情報化推進体制の強化と情報システムの安定運用につながっている。



東京証券取引所は、社外からCIOを招き、情報化推進体制を立て直した。
2005年に大規模なシステムトラブルを起こし、直後に社長が辞任する事態となった。
当時会長だった西室泰三氏(東芝社長出身)が社長を兼務し、みずからCIOを探し、NTTデータグループから鈴木義伯氏を招いた。

西室氏が社長に就任してから一ヶ月強。
そのときの鈴木CIO就任のスピード感は、常識では考えられない。
西室氏は、社長に就任してからすぐに、政府関係者などと、CIOに相応しい人物について意見交換した。
そのときに出た条件は、大規模システムの開発と運用経験がある人というものだった。



・一般に企業が合併あるいは経営統合したときに、するべきことは山のようにある。
この中で最も面倒なのが、情報システムの統合である。
企業の情報システムは、その企業の業務のやり方と表裏一体の関係にあり、業務の一本化が終わらないと情報システムを統合できない。



・日本の情報システムには、老朽化、肥大化、それに手を打てる人材の減少があげられる。
もうひとつは、「プロジェクトマネジメント」の導入の遅れである。

ここでいう、プロジェクトマネジメントとは、納期やコスト、成果物の品質に加え、プロジェクトの範囲、投入する人的資源、メンバー間のコミュニケーション、
リスク、各種リソースの調達といった諸要素まで、総合的にマネジメントしていくやり方を指す。



・情報システムの構築・運用トラブル防止のための10ヶ条


1.経営トップが先頭に立ってシステム導入の指揮を執り、全社の理解を得ながら社員をプロジェクトに巻き込む。

2.複数のシステム開発会社を比較し、最も自社の業務に精通している業者を選ぶ。

3.システム開発会社を下請け扱いしたり、開発費をむやみに値切ったりしない。


4.自社のシステム構築に関する力を見極め、無理のない計画を立てる。

5.社内の責任体制を明確に決める。

6.要件定義や設計など上流工程に時間をかけ、要件の確定後はみだりに変更しない。
要件定義とは、その情報システムで何をするのかを決めることである。


7.進捗は自社で把握、テストと検収に時間をかける。

8.システムが稼働するまであきらめず、あらゆる手段を講じる。

9.システム開発会社と有償のアフターサービス契約を結び、保守体制を整える。

10.うっかりミスを軽視せず、抜本的な対策を取る。



※コメント
文系の経営者や社員は、ついつい情報システムについて苦手意識をもち、敬遠しがちだ。
しかし、システムは、社会のありとあらゆるところに根付いている。
その知識がないかあるかで、決断がかわってくる。
ビジネスを進化させる上でも、政府の情報を発展・守るためにも、システムの基礎知識を学ぶべきだ。
そしてシステムのスペシャリストの方々と文系の統合し、オールジャパン体制で、成長していきたい。
いつの日か、文系・理系の垣根を取り払いたい。