先従隗始・温故知新

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SJ4000アクションカメラのマイク性能を上げる簡単な方法

(分解作業は、電源ボタンの配線がスケア0.1以下なんで非常に要注意。触ったら負け)


巷ではマイクミニジャックを後付なんてやってるけど


これまで電子、機械、IT系で、設計や開発、生産や改良などを手がけてきた身の上としては、
「そこまでしなくても」という発想に至った。


設計思想や仕様にも色々な考え方があるけど
純正マイクを撤去して外部マイク端子をはんだ付けしてしまうと、水密ケースに入れたら音が拾えなくなる。
アウトドアでマイクが吹っ飛んでいったらアウトだ。wwwミニジャックはあまり取付強度が強くはない。


当然だがマイクは、しまい込まれるほど音が拾えなくなる。
水密ケースがいい例。耳をふさぐほど聞こえが悪くなるのも同様。
(けど純正マイクなら水中でも少しは音が拾える=スノーケルで喋るとちゃんと声が入ってる)
自動車の純正マフラーは幾重にもクネクネ部屋を通り抜けることでほとんど音が出てこない。


でもマイクロ精密機器はけっこう、「マイク性能を犠牲にしてでも筐体内部に半密閉でしまい込む」仕様が多い。
ゴミ、水、嫌うからだ。基盤がやられるから。
だから筐体を開けるとえらく大きい録音レベルになることが多い。


 ◆


SJ4000はUSB端子のすぐ上に3つ穴があり、うち2つはダミー。センターのみ貫通していて、これがマイクの主たる集音穴。
実際はUSB端子や液晶側も大きな隙間があるのでそこからも拾っている。


筐体にただドリルで正円の穴を開けても、マイクは拾ってくれない。
入りが悪い、ヌケが悪い、その両方…
穴のレイアウト、
マイクのレイアウトと指向性仕様、などが相関する。
マイクにむかって音が飛んでこず、くねくねした挙句避けていっては無意味。純正マフラーと同じだ。
特定の狭い方向からしか音が拾えないと、わざわざ指向性マイクに改造したに等しい。
一例:http://www.kanepee.jp/wordpress/320d/archives/875


なのでうまく拾うには、マイクの仕様と向きに沿った穴、隙間を作る必要がある。筐体形状という制約の中でだ。


だが筐体正面つまりレンズ付近に穴を開けると
バイクや自転車で走行したときに
風切り音、
雨や埃、
どんどん入ってきてしまう。ラムエアダクトみたいなもんだ。


だからこそGOPROやSJは前にはマイク穴がない。
その仕様は残すべきである。


以下の画像で示す。

元からあるピンホールはマイク位置から2mm先というニアな位置にある。
ここを起点に前方へ1cmのスリットを作る。高さは4mm以内が無難のようだ。


正円穴ではうまく音が入りにくいが
長方形の穴にして、角を円にすることで集音しやすくなる。
横長であれば雨水なども防ぐ対策がしやすい。


穴を開けたら、切り屑は全部吸い取るのはもちろん。
このままでは風切り音もすごく、雨水もどんどん入るので、
「荒い織布の、ハーネステープ」を貼り付け、
さらに集音性を稼ぐために縫い針でブッスブス刺しまくってメッシュにする。


画像では見えにくいが、ハーネステープが凹んでる範囲が開けた穴。


当方では、ふだんは社外スケルトンケースに装着している。
これも、そのままではせっかくの大きな穴を塞いでしまうので、切削加工で形状を合わせる。



ケルトンゆえ、そのままではコーヒーこぼせば全部カメラ本体へ染み込むので
外周はすべて透明ビニールテープで覆って
ボタンもテープ越しで操作する。USB端子もテープで覆ってしまって、ギリギリ差し込める程度に切込みを入れる。
さらにこのテープでひさし(庇)をつくり、USB端子やマイクホールを水の降りかかりから保護する。


半防水。少々の小雨は問題ない。気にせずドリンクも飲める。
もちろんレンズカバーは必ず装着。


製品は、適切な工夫をした分だけ、格段に性能向上する。
技術者の鉄則。


室内でテストしてみると、けっこう録音レベルが向上していた。


買ってそのままだと、どこでどう録画しても、やたら音が小さくて閉口していたが
(PCで再生プレーヤー音量を2倍にしてやっと1倍程度に聞こえる)


改造後は、特に音源に近づくと馬鹿みたいに音が拾えている。
離していってもさほど小さい音には聞こえない。


ただ、マイクホールが本体左にしかないので、若干は苦手な方向は出てくるだろう。
贅沢を言うならHDハンディムービー用の1万円以上するステレオマイクをつけたいが。


ソニーサイバーショット、カード型のT3を分解すると、マイクはアルミボディにくっついたようなレイアウトになっており、音が最大限拾いやすい。


SJの内蔵マイクは妙に奥座敷に幽閉しすぎている。
GOPRO3をある程度はコピーしてるが、やはり中国人はコピーした設計を完全には理解してない。
(水に弱い安いマイクを採用している可能性も…GOPRO3と違い見た目が安っぽく、アキバでパーツで売ってそう)
ソニーやゴープロなど一流の技術者は、内蔵マイクを奥座敷へ引っ込めたりはしない。
GOPRO3はちゃんとマイクが筐体にくっつくようなレイアウト。
https://gigazine.net/news/20130131-gopro-hero3-teardown/


SJ5000も同じ欠陥を抱え、SJ7000でやっと解決している。
http://m347.com/log/eid349.html



動作検証結果…「かなりいい」


購入状態:Win10ボリューム最大、プレーヤーも最大で、実際に耳で聞こえる程度の音レベル
改造後:Win10ボリューム95%、プレーヤーMPC半分〜75%で、すこしやかましいぐらい


要はバスレフのスピーカーとやってることは同じ。音が入るか出るかというだけ。
https://www.phileweb.com/magazine/audio-course/archives/2007/06/28.html


耳にイヤーウィスパーをつけると、特にキンキンうるさい高音が消える。
これは布団をかぶる、密閉箱のなかに閉じこもる、のと同じ。


だからマイクが筐体に密閉されてると高音が入らずボソボソ不明瞭な録音音声になる。
筐体の穴の形状とサイズを適切にすれば、高音も入るし、マイクが聞こえる音(入力レベル)も大きくなるわけ。


とにかく明瞭でクリアな音声になったよ。たぶんGOPROなみには。