先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

自己流 SeaDoo シースクーターPRO マニュアル SeaScooter


日本の代理店で買うと、本国の英文マニュアルをそのまま和訳したのがついてくるが
どうも訳のままなので、英文っぽく、読みづらい…マイクロソフト製品に時々感じるアレ…


よって、基本的な使い方の手順などを書き連ねておく。


・バッテリー充電(各パーツ完全乾燥状態で)
・充電器点滅で終了
・バッテリー装着してカバーはめる(インナー・ノーズコーン)
・インナー・ノーズコーンの水密キャップをしめてバッテリー室の水密を完成する


ここまで前準備。
次は動作前に必要なこと。


・浮力チャンバー調整
プールなどで水面を楽しく移動するだけなら空気100%。
しかし、潜水に使うならかなり難しい。


容器が小さいので大きな石は入らない。小さい石でも質量が足りない。
小石多数に、砂と水を詰めてほぼ満タンにして、やっと「中性浮力」をちょっと超えて微弱なマイナス浮力。
はっきりいってもっとコンパクトな重金属製のダイビング用ウェイトを使ったほうがいい。
チャンバーの蓋が容器側に出っ張ってるので、石が出っ張ってると蓋が閉まらないなど不親切。


微弱マイナス浮力にすると、緩慢に沈む。バラストが機体前方なので、前向きで沈む。
このぐらいにしないと、たかが水深5mに行くのも難儀するというか
「邪魔だよ、無いほうがむしろ疲れなくていいよ!」
おじゃま虫になってしまいます。


ただしチャンバーを取り外した状態でも、微弱なプラス浮力ながら潜れるようにはなる。
バラスト調整する暇もないときはこちらがいいかも。


結局、レジャー用の製品だからこうもプラス側の浮力に設計してある。
プロ用のアポロAV2なんか20kgもあるからチャンバー付けないとマイナス浮力になるとスペック表にはある。…米袋かよ20kgって…一人じゃ手で持てないじゃん。


…以上は、川の上流におけるスキンダイビングの急速潜行(水難救助を前提)の話。
キューバであればむしろゆっくり潜行浮上ですから、中性浮力ぐらいが無難でしょう。


秩父だの青梅だのの川の上流では、「淵」が所により適当に深く晴天の増水無しで4〜8mぐらいある。
ここに油断たっぷり隙だらけのへたすれば酔っぱらいのレジャー客が落ち込むことがあるので、ドボンでとっとと底まで行って引き上げないとならない。


潜水艦も、バラストタンクが故障した場合、推力だけで浮上するオペをするそうで、
このシースクーターPROもマイナス浮力でも余裕で浮上アシストするぐらいの推力があります。
微弱なマイナス浮力であればスクリューを止めても別に沈んだりしない。なんといってもバッテリー室にまだ空気入ってるから。


川はしょせん面積が狭く移動範囲も狭く移動時間も泳ぐ時間も短い。
海は逆にすべてが広いから、バラストを増やしたりするのはご法度が基本と言えましょう。
道中で動かなくなった時にものすごくお荷物になる。川と違って近くの浅瀬に避難して分解してバラストの中身捨てることも出来ない。


川では5秒で底へ到達して5秒で浮上すればいいんです。一回の潜水で水難者を発見できなかったら数回やればいいだけ。
おもりのようなスクーターで突っ込み、おもりのまま推力任せで浮上していい。
いかに急速潜行を早くするかが生死を分ける。救助者がムダに疲れなくて済む。
何時間も何kmも移動する、数mの潜行浮上に何分もかけるスクーバとは違う。


以下、素潜りの達者がフィンキックだけで1分10秒かけて20m潜行10秒滞在後に浮上してますが
https://www.youtube.com/watch?v=7BFWKuk-Kx4
ふつう中々ここまで行けないので
シースクーターを上記のようにオモリ状態にすれば、素潜りの強力な味方になるかと。
ただ手かきが犠牲になるので、人によっては逆に邪魔かもね。
潜行浮上においては、フィンキックをサボるやり方より、フィンキックはしつつ高速化を狙う方式がオススメ。


ただこれ、衝撃時ストップ機能が装備されてるためか
急速潜行で急に角度を90度変えると、止まっちゃうような…アクセル・トリガーの引きが甘いだけだろうか…


帰宅後は
・チャンバーまでを開けて洗って干す。
・十分に乾いてからバッテリー室を開けて充電。(拭き取りでもいい)


あの説明書だと、チャンバー室の開け方すらわからない…
ラッチを180度まわすといいことまではわかるが
引っこ抜けることまでちゃんと書いてない。
開梱してからしばらく何十分か悩んじゃったよ。


重量は6kgでかなり重い…
ふだん買うお米が5kgですからなあ…


これでも40kgの豆袋とか100kg近い荷物をはこぶ食品製造やヤマト佐川仕分けやってたけど
荷物というのは同じ重量でも、大きいと重い。体が使う筋肉や姿勢が変わるため。
コンパクトな荷物を正しい方式で正しい位置で持つと軽い。


付属のバッグは優秀な設計だけど、本体が大きいのでどうしても重い。
家から川まで片道1km程度でもう疲れてしまった。オートバイや車で運ばないと厳しい。自転車ではおもすぎて危ない。
装備も運ぶから7kgは超えてるし。


川の深みの水難救助シュノーケリングでシースクーターを使う意味は
なんといっても水中での活動時間を増やすこと。酸素消費を抑える。
だからへんにバラスト調整が甘く浮力が大きくてむしろあれこれいじって疲れが増えては逆効果。
きちんと浮力調整すると、とっとと底へ行ってしばらく移動して、息が限界を迎えるギリギリまで粘っても大してフィンキックせず急速浮上できる。


急速浮上においては硬めのロングフィン必須。
浅瀬が多い【川の上流ではフルフットフィンは禁忌】。いざというとき瞬時にはずせてさっさと装着するにはストラップ式。
川は浅いくせにどこも急流で危ないし、底はすべて藻がかかってヌルヌルだからね…海の波打ち際とは違う。
川に座ってとっととフィンを取り歩いて岸へ上がる。


柔らかく短めのフィンは初心者や未成年には手軽だが、急流では簡単に流れに負ける。
また深みまで潜ってからの浮上に時間がかかって鬱陶しい。
柔らかくて短いといくらバタバタしても進まないことがあり
硬くてロングだと筋肉には厳しいが一回でもしっかり漕げばしっかり進む。
TUSAのSF-5より
AQUALUNGのADJのほうがずっといい。
ただ硬くて大きいともろに流れを受け止めるのでデメリットな場面もある。
たぶんフリーダイビング競技の選手やらが使うフルフットのロングフィンはADJより長いけど川では邪魔なだけ、脱着も容易ではなく危険。海でのみ使うべきだろう、穏やかな場所で潜ることを重視した設計に見える。
川では急流の浅瀬をゴロンゴロンしたり匍匐前進したりと、状況の変化が忙しいからね。



なおきょうの一回目の使用でさっそくスクリュー側のカバーが紛失…
川の急流で使うにはもろい部分なのかも…泳いでるうちに(急流にもまれてる時か岩場でコツンコツン繰り返してた時に)いつのまにか外れてたっぽい。


要は川での使用は想定されてない。あくまでプールか海だ。スクーバのコーチでも川は流れが強いから怖がるし。


純正パーツを注文するか
容易にはずれない自作パーツを組むか
迷うところ。
自分だけが使うから無くても問題ないんだけど。


ただ、プロが救助でも使うアポロAV2なんか元からついてないし…http://www.apollo-japan.jp/vehicle/av2-classic/
要は扇風機もそうだけど排気(排水)側にカバーがあると推力落ちちゃうんだよ…どれだけ細やかな流速を殺さない設計でもね。こと空気より水のほうが重たくて抵抗大きいからね…
AV2のばあいは本体を足で挟んじゃうからスクリューカバーはイラネ、後続の人は手足とか器材を巻き込まれない距離を保ってね、って設計なんだけど。


川の上流なんてみみっちい面積での救助なんて後続者はいないし、単独作業だし


イラネ?


ついでにSeaDooをサドル付けて足で挟む仕様に改造する予定。な、なんだってー!!


 ◇


・深度潜水および急流の遡上と横切りにはハードブレードのロングフィン
・浅度救助ではむしろハードブレードのショートフィンも場合により有効?(カーボン入りとかいろいろな救助専用、競技のユノがある)


川は急流と隣り合わせなので、何を取捨選択するかが大事。どちらを採用してもそれ「固有の欠点」も内包する。
ロング&ハードのフィンならば、急流で足の向きをひっくり返さないと危ない時も、フィンが流水を受けとめる力が大きいためひっくり返せない状況が増える。テコの原理、川の流れに沿った動作しか選択肢がなくなる。
しかし深度潜水の救助作業では、ロングフィンがないとはかどらないし息が続かない。息を続かせるのが重要ならシースクーターは心強い。
しかしシースクーターは川の急流においては搬入路の策定が難しい。なんせお荷物で、水中抵抗が大きい。時速15kmもでれば推力だけでいけちゃうが3kmしか出ないから泳ぎながら「運んであげる」しかない。


またシースクーターで潜水救助をやるなら「あらかじめバラストを入れとく」しかない。
現地でのんきに石っころ入れながら浮力調整なんてレジャーのやることだ。
訓練時に細やかにバラスト調整しながら最適な浮力を割り出しておき、本番に備えていつもバラストを入れておく。
ということは仮に3kgのバラストが入ってれば、9kgもの「荷物」を担いで持ってくることになる…加えてダイビング軽機材も。
つまり基本的には小型オートバイでの搬入となろう。
シースクーター無しならMTBスポーツ仕様(本体は安いMTBもどき=ルック車でもいいが、タイヤチューブなどレース競技用にした、山の悪路を走り回れるもの、車重は12kg以下)の自転車でも大丈夫、岸まで行ける。


 ◇


要点抜粋
チャンバーはエアが密封されて浮力になるのがウザい。チャンバーがないと前=先端が沈むので急激な潜行には有利。
アンクルウェイトは砂が入った袋なので、バッテリー室の水密ボルト(小さい樹脂部品)への攻撃性が少なかろう。そもそも川での救助検索作業は短時間だし過激な動きもない。海のレジャーダイブとは使用状況が異なる。
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20140816/1408100253
SeaDooシースクーターProの潜水におけるウェイトは、チャンバーを外し、TUSAのアンクルウェイト1個500gでギリギリプラス浮力、2個1kgでぎりぎりマイナス浮力。とうぜんに後者のほうが沈みは良い。
川は狭いし浅いのでマイナス浮力のほうが水難救助検索作業には適しているかもね、レジャーのスキューバみたいに時間かけないし。