先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

丸木ごと用材にするときは、耐久性出すの難しいよね…


青梅市の長渕ハイキングコースで、地元材?杉(腕ぐらいの太さの丸材)かなんかで階段作ったけど
おれが「第一号ですーー」って現場で土木課のみなさんに拍手されたんだけど…
一年で腐敗して崩れ去ったからね…
3年後のいまはもうきのこすらつかない腐葉土に…その散策路はまさに「川」なんだよ、付近集落から尾根道へ登っていく小川沿いの細い道が、雨天時の川と区別されず混同されてる。小川へ流れ込む源流そのものなの。景色には菌類も目立つ。


ここ10年間のかすかな山歩き記憶からすると…
スギ・ヒノキの倒木まるごとが一番長持ちするね。皮膚にあたる表皮があり、あちこち切られず傷も増えておらず、免疫や防御機能が残るんだろうか…杉葉が混じった腐葉土にカブトムシの幼虫を入れると死ぬんだよ殺虫殺菌作用があるから。
皮を剥がれて丸太切りにされて、丸木になると脆(もろ)いよね。野菜まるごとだと保存性が良くて、切ったり茹でちゃうとあっという間に腐るのと同じかな。
マツは倒れる頃には菌類や虫に食われて死んでるからスカスカだけどね。


薬品処理でも焼き板でも、劣化予防処理ってなんでもいいんだが
さらに菌類(きのことカビは、死した植物を腐らせ土壌へ帰す役割)の侵食まで鑑みるのはとても大変なんだと、山々のあちこちの現場の朽ちぶりを見てて思う。


場所により、10年でもぎりぎり耐えてるからね…
その現場の、雨天時の水の通り道とか、菌類の自生の具合とか…様々な固有条件があるんだろうね。


国交省みたいな中央の連中は、カタログスペックや報告書でしか判断しないから…
山の最前線みたいな自然環境の実際のことは、わからんよ。
おそらくこの橋梁も、山の現場の人が完成前にチェックすれば「これすぐ腐るよ」ってわかったんだろうね。

「25年手入れ不要」の木橋…10年で腐って撤去 千葉

2014年3月27日07時40分


写真・図版主橋梁部が取り外された「とんとんみずき橋」=千葉県野田市みずき1丁目


 25年間手入れ不要と言われた木造橋が10年ほどで腐食し使えなくなった、として、千葉県野田市は26日、橋を同市に無償譲渡した都市再生機構(UR)を相手取り、再建築を求める訴訟をおこすと発表した。橋は現在、主橋梁(きょうりょう)部が撤去され、利用できなくなっている。

 木造の「とんとんみずき橋」は、UR(当時は住宅・都市整備公団)が1998年、同市みずき地区に設置した歩行者用の橋で、全長194メートル、幅4〜6メートル。市道をまたいで住宅地同士を結び、当時は木造橋としては日本で2番目の長さと言われた。

 アフリカ産のボンゴシ材を使い、同市によるとURから「25年間、手入れする必要はない」との説明を受け、2002年に譲り受けたという。しかし同市の点検・調査で、06年には一部腐食が見つかり、10年にはすべての主桁で断面の30%が腐食していることが分かった。そのため、同年には橋が全面通行止めとなり、翌11年7月、主橋梁部64メートルをURが撤去した。

 木造橋が地域のシンボルだったため、同市はURに再建築を求めてきたが、URから「法的責任を負うべき根拠がない」との回答が寄せられ、訴訟に踏み切った。訴えでは、再建築のほか、市が支出した維持管理費476万円も請求する。

 根本崇市長は、橋の譲渡前の1999年に、愛媛県でボンゴシ材を使った木造橋が腐食、落下した事故があったことに触れ「URは、問題があることは分かっていたはずなのに、25年は手入れ不要との説明のままだった」と批判する。

 一方、URは「橋が使用できない状態であることは、遺憾に思っている。市が行う法的措置に適切に対応したい」とコメントしている。
http://www.asahi.com/articles/ASG3V3H1KG3VUDCB006.html

これ、かなり以前にも前例があった…
アフリカは強い日射で乾燥するから、しけるのには弱いんじゃないかな…日本みたいな風土では。


それと前述のような丸太と違い、角材にすると弱くなるとかね。ログハウスって耐久性がいいもんね、板塀はすぐ腐るのに。
一つには、角材で組み立て構造物にすると、水たまりができやすく、水はけが悪いんだろう。そういうのきのこは大好きだから…ケロン星人みたいな。
ある程度スカスカな構造にして丸太のように曲面の方がいいんだよ木材はね。ニスで表面に撥水性を持たせると芯まで浸潤もしないし…ってことは表皮を剥いだだけのツルツルした鏡面のような状態でなくてはダメなんだな。
そもそも日本はアジアの木造建築は、スキマを抑制せずスースーするから腐らなかった。板ものの廊下なんかは濡れないようひさしや雨戸の内側にあったし、濡れてしまう渡り廊下なんかは朱塗りやニスを厚くしたり、すぐ乾く構造になっているはず。高床構造採用など工夫をして。

http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/etj/setugo/199909Mokkyo/200002MokuzaiKougyou.NaigaiJyouhou.html
はじめに

1999年9月、愛媛県北宇和郡津島町にある、南予レクリエーション都市4号公園内の、トラス木橋が落下する事故が起きた。


5.1 腐朽の状況

調査した3橋の、落橋部(No.4)、現存部(No.1, No.2)全体を含めて、接合部付近で腐朽度が高い傾向が見られた。また、高欄、床板といった部材では、床板とトラス縦部材の干渉部分など、横梁のような受け材があって水はけの悪い部分で腐朽が大きい傾向があった。(写真3, 写真4, 写真5) さらに、支承上部の受け材など、水たまり部分のかなり多くの箇所で、同一菌種と見られる子実体が認められた。一方、横梁直上でない部分など水はけの良い箇所では、新品同様に健全な材も多く見られた。


6. 落橋の原因

事故の主因は耐久設計上の弱点である接合部の木材の腐朽であり、それによる断面欠損や接合部の強度低下が落橋の引き金となったと思われる。
ボンゴシは腐りにくい樹種である。ただ、絶対腐らないと言う思いこみ(設計上の配慮不足)が、部材を過酷な環境に追い込み、今回の事態(耐久設計上の弱点である接合部の腐朽による断面欠損、落橋)を招いたと考えられる。
ざらしで10年経っているにもかかわらず、接合部等水たまり部分を除けば、全く変化していないものが多いことでそれが証明されているともいえる。


https://www.oita-press.co.jp/localNews/2011_129619314958.html
大分のニュース
七瀬川公園の三日月橋 わずか13年で撤去

[2011年01月28日 14:37]


七瀬川自然公園の三日月橋。アーチ部分の木が腐り通行止めになった=大分市

 「35年以上使用できる」とされた木材を使い、大分市が3億6500万円をかけて、七瀬川自然公園内に設置した木製アーチ橋「三日月橋」が、1998年3月の完成後13年足らずで姿を消す見通しとなった。公園の自然景観にマッチし、訪れる市民に利用されていたが、キノコ菌の影響で木材が腐り、耐久性が低下、市は撤去する方針を固めた。橋は安全を確保するため、28日から通行止めとなった。

 市公園緑地課によると、橋は長さ66メートル、幅3メートル。材料は西アフリカ産のボンゴシ材を使用。極めて堅く、防腐・防虫効果が非常に高いという。メンテナンス不要で、長期にわたって利用できることから採用したという。
 市は2006年に、橋の強度を支えるアーチ部分の木材にシイサルノコシカケ菌が付着しているのを確認。調査したところ、安全性に問題はなかったが、菌を完全に除去することができず、付着する箇所が増えた。薬剤を使い腐食を防ごうとしたが、木材の奥に入り込んだ菌を止めることはできなかったという。
 菌の付着した部分だけを新しい材料に変えることも検討したが、多額な費用が必要となるため断念。橋を改修する有効な方法も見つからなかった。
 森本順次公園緑地課長は「ヨーロッパで長期にわたって使われていることを参考に、ボンゴシ材を選んだ。日本の高温多雨な気候に合わず、菌の付着と腐朽が建設当時の予想以上に進んでしまった。このような結果になって残念だ」と話している。


http://www.weblio.jp/content/%E3%82%A2%E3%82%BE%E3%83%99
アゾベ
別名:ボンゴシ, Bongossi, エッキ, Ekki, Azobe
学名:Lophira alata var.procera
(オクナ科)

■用途
重硬で、強度が高く、耐久性が高いため、重構造物、港湾用材、枕木、工場や倉庫などの床板などとして、ヨーロッパなどで、長い間、高く評価されてきています。

日本ではあまりよくは知られていませんでした。ところで最近になって耐久性が高いことが注目されて、輸入されるようになりました。

どうやら、やっぱり
・製造業者の、勉強不足(用材を売る側も、良い材を用いて設計製造を行う側も)
霞ヶ関は受け売りだからね…自分で凝り性になって調べたり作ったりはしない。


なんでかっていうのはかんたんで
・日本や欧米で、長らく使われてきた木材じゃないから
統計学的な、民族学的な、情報量が不足している。


欧州ではメジャーになってきたと言っても…あちらはサバンナや地中海で乾燥してて、シャワーしか浴びないようなお国柄が多い。
というか日本や東南アジアは湿りすぎなのだ。だからすぐ地面がカビきのこ雑草で覆われる。


サルノコシカケには弱いボンゴシ…


そんな情報、日本で幾つか建設して、ホットテストで実証実験してみないとわからん…


つまりは原発の弱点と同じだ。無数の原発を作って事故りまくってみないと自動車並の信頼性と性能に到達できない。
あの汚染水処理装置のALPSだって事故原発で初の運用開始したばかりだから、わからんことだらけ情報不足で、ちっとも進化が進まないで故障して止まってばかりで弁解会見は「原因は不明、調査する」ばっかり。
全国で無数に使われていれば急速に進化が進む。いわば量産効果=市場拡大効果。それでも有意な事故統計が揃うまで10〜20年はかかる。
参考エントリー
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20140327/1395844005


 ◇


…といった内容を、さっそく国交省へメール。
機を見てせざるは勇無きなり